2007年08月30日
効果的な目標設定
心理学には目標を立てることについての多くの研究があり、様々な場面でパフォーマンスを向上させるのに役立つ、とされています。今回は、そのなかでもスポーツにおける効果的な目標設定について書きたいと思います。
難易度の問題、目標の期間の問題、結果目標とパフォーマンス目標について、チーム目標と個人目標について、の5つをこの順番で書いていきます。
まず始めに、どれくらいの難しさの目標がいいのか、という問題があります。結論から言うと、達成できる確率が50%くらいの、中程度の難しさの目標がよいとされています(「期待価値理論」といいます)。その理由は、やさしすぎる目標ではやる気が起きず、難しすぎる目標では達成できる自信がもてないために努力をしなくなってしまうからです。ですので、自分で成功する確率が50%くらいだと思える現実的かつ挑戦的な目標が、最もモチベーション(動機付け)が高まる、とされています。
次に、どれくらい具体的な目標にするのかについてです。全力を尽くす、といった抽象的な目標では、達成できたかどうかを判断する基準が曖昧になってしまいます。
一方、ファーストサーブを70%の確率で入れる、というような具体的な目標は、達成できたかどうかを明確に判断することが出来るので、目標を達成できたかについてのフィードバックを得ることが出来ます。それにより、自分の進歩を把握することが出来るので、達成への自信を高めることが出来るとされています。
次は、どれくらいの期間の目標を立てるかです。これについては、短期目標と長期目標の両方を立てることがパフォーマンス向上に貢献する、とされています。短期目標だけではすぐに達成してしまうため、すぐに目標がなくなってしまいます。長期目標だけでは、それを達成するまでに長い時間を要してしまうので、動機付けを維持しづらくなってしまいます。
短期目標と長期目標の両方がある場合は、短期目標があるので早期に達成感や満足感を得ることが出来るので、長期目標を達成するまでの動機付けを維持することが出来ますし、自分の進歩状況を把握することが出来ます。ですので、複数の短期目標を長期目標の達成に結びつくように、段階的に設定することが最も効果的だといえます。
このように目標を立てるには、長期目標から逆算して短期目標を立てる、という方法がいいかと思います。例えば、「トーナメントで優勝する」という長期目標を立てたとしたら、ベスト4になる、ベスト8になる、というように長期目標から現在の自分の状況までの各段階を設けて、それぞれの段階に進むにはどのようなことが出来るようになるのかを考え、それを目標にする、という具合です。
続いて、結果についての目標と自分のパフォーマンスについての目標についてです。パフォーマンスについてというのは、例えば「ファーストサーブの確率を7割にしよう」とか、「ボールをしっかり見て打とう」というものです。「4回戦まで進む」というような、結果についての目標を重視しすぎると、負けること=失敗とみなしてしまうため、自分に対して余計なプレッシャーを与えかねません。また、対戦相手の強さや調子、自分の調子など、勝敗は自分ではどうすることもできない要因によって左右されることも多いため、明確な目標ともいえません。
パフォーマンスの目標は、成功するかどうかは自分の責任なので、目標達成について客観的に判断できますし、自分の進歩状況も客観的に把握することが出来ます。また、プレーそのものを目標にしているので、ゲームで自分のプレーに集中することが出来ることから、緊張・不安を低下させる効果も期待できます。
ようやく最後になりました。これまで個人の目標について話を進めてきましたが、チームの目標についてです。テニスは団体競技というよりも個人競技と考えられますが、ダブルスなどはこのチーム目標を当てはめることが出来ると思います。
メンバー全体で立てたチームの目標は、チームワークの向上や、メンバーの試合に対する動機付けを高めることに役立ちます。ですので、個人の目標とチーム全体の目標を立てるのが一番効果的といえます。
今週の日曜日にシングルスの大会があるので、目標を立ててみようと思っているのですが、簡単にはいい目標が思いつきません(;´∀`)普段から自分の課題を見つける姿勢が大切なんだと思います。課題を見つけたらその都度ブログに書く、というのはいい方法かもしれませんね。
難易度の問題、目標の期間の問題、結果目標とパフォーマンス目標について、チーム目標と個人目標について、の5つをこの順番で書いていきます。
まず始めに、どれくらいの難しさの目標がいいのか、という問題があります。結論から言うと、達成できる確率が50%くらいの、中程度の難しさの目標がよいとされています(「期待価値理論」といいます)。その理由は、やさしすぎる目標ではやる気が起きず、難しすぎる目標では達成できる自信がもてないために努力をしなくなってしまうからです。ですので、自分で成功する確率が50%くらいだと思える現実的かつ挑戦的な目標が、最もモチベーション(動機付け)が高まる、とされています。
次に、どれくらい具体的な目標にするのかについてです。全力を尽くす、といった抽象的な目標では、達成できたかどうかを判断する基準が曖昧になってしまいます。
一方、ファーストサーブを70%の確率で入れる、というような具体的な目標は、達成できたかどうかを明確に判断することが出来るので、目標を達成できたかについてのフィードバックを得ることが出来ます。それにより、自分の進歩を把握することが出来るので、達成への自信を高めることが出来るとされています。
次は、どれくらいの期間の目標を立てるかです。これについては、短期目標と長期目標の両方を立てることがパフォーマンス向上に貢献する、とされています。短期目標だけではすぐに達成してしまうため、すぐに目標がなくなってしまいます。長期目標だけでは、それを達成するまでに長い時間を要してしまうので、動機付けを維持しづらくなってしまいます。
短期目標と長期目標の両方がある場合は、短期目標があるので早期に達成感や満足感を得ることが出来るので、長期目標を達成するまでの動機付けを維持することが出来ますし、自分の進歩状況を把握することが出来ます。ですので、複数の短期目標を長期目標の達成に結びつくように、段階的に設定することが最も効果的だといえます。
このように目標を立てるには、長期目標から逆算して短期目標を立てる、という方法がいいかと思います。例えば、「トーナメントで優勝する」という長期目標を立てたとしたら、ベスト4になる、ベスト8になる、というように長期目標から現在の自分の状況までの各段階を設けて、それぞれの段階に進むにはどのようなことが出来るようになるのかを考え、それを目標にする、という具合です。
続いて、結果についての目標と自分のパフォーマンスについての目標についてです。パフォーマンスについてというのは、例えば「ファーストサーブの確率を7割にしよう」とか、「ボールをしっかり見て打とう」というものです。「4回戦まで進む」というような、結果についての目標を重視しすぎると、負けること=失敗とみなしてしまうため、自分に対して余計なプレッシャーを与えかねません。また、対戦相手の強さや調子、自分の調子など、勝敗は自分ではどうすることもできない要因によって左右されることも多いため、明確な目標ともいえません。
パフォーマンスの目標は、成功するかどうかは自分の責任なので、目標達成について客観的に判断できますし、自分の進歩状況も客観的に把握することが出来ます。また、プレーそのものを目標にしているので、ゲームで自分のプレーに集中することが出来ることから、緊張・不安を低下させる効果も期待できます。
ようやく最後になりました。これまで個人の目標について話を進めてきましたが、チームの目標についてです。テニスは団体競技というよりも個人競技と考えられますが、ダブルスなどはこのチーム目標を当てはめることが出来ると思います。
メンバー全体で立てたチームの目標は、チームワークの向上や、メンバーの試合に対する動機付けを高めることに役立ちます。ですので、個人の目標とチーム全体の目標を立てるのが一番効果的といえます。
今週の日曜日にシングルスの大会があるので、目標を立ててみようと思っているのですが、簡単にはいい目標が思いつきません(;´∀`)普段から自分の課題を見つける姿勢が大切なんだと思います。課題を見つけたらその都度ブログに書く、というのはいい方法かもしれませんね。
2007年08月27日
練習方法
私が今読んでいるスポーツ心理学の本には、テニスを材料にした研究が3,4つほどあります。今日はその1つの、手打ちを改善する練習方法についてのお話です。
この研究の実験では、被験者(テニスの初心者)にストロークを1分間に32~38球を打たせる(゚Д゚; )ということをしたのですが、フォアハンドとバックハンドを別々にして行なう(1分間フォアだけをやり、その後にバックだけをやる)条件と、1分の間にフォアとバックを交互に打つ条件を作ります。そして、この練習をした後に、フォアとバックそれぞれの肩の回転と腰の回転がどれだけ増えたかを、この2つの条件間で比較するというものです。
この実験の結果は、交互に打つ群は練習前よりも肩と腰の回転の量が増えた(フォロースルーが大きくなった)ので、手打ちが改善されました。一方、別々に打つ群では練習前よりも肩と腰の回転の量が小さくなり、手打ちの傾向が強くなってしまいました。
では、どうしてこのような結果になったかについてです。フォアハンドのテイクバックは時計回りの方向で、フォロースルーは反時計回りのスイングです。バックハンドは逆で、テイクバックは反時計回り、フォロースルーは時計回りです。このため、フォアorバックだけを反復する場合は、テイクバックとフォロースルーのスイング方向が反対なので、体の回転方向を切り替えなければなりません。ですので、1分間に30球以上のハイペースとなると、フォロースルーを小さくしたほうが次の打球のためのテイクバックを取りやすくて、次の打球の準備が早く、楽にできてしまうことから、フォアorバックを別々に行なった群では肩と腰の回転量が小さくなった(フォロースルーが小さくなった)と考えられます。
フォアとバックを交互に打つ場合は、フォアorバックだけを反復する場合と逆になります。フォロースルーとテイクバックのスイング方向は同じなので、体の回転方向の切り替えをする必要はありません。ですので、1分間に30球以上のハイペースでフォアとバックを交互に打つ場合は、フォロースルーを大きくすれば次の打球のためのテイクバックを取りやすく、次の打球の準備が早くでき、楽になります。このため、この練習を行なった後に体の回転量が増えた(フォロースルーが大きくなった)という結果になったと考えられます。
この研究が明らかにしたいことは手打ちを改善する練習方法ではありません。練習環境の制約(場のデザイン)によって、学習者の意図的な制御がなくても望ましい学習ができれば望ましくない学習にもなる、ということの一例を示している研究といえます。
こんなことを意識しながら練習する人はほとんどいないでしょうし、かなり難しいと思います。この観点から、この手打ちを改善する練習方法以外の練習方法を思いつくことができません…。何かあるでしょうか?とりあえず、この練習方法は役に立つものだとは思います。それよりも、1分間で38球も打つ練習なんて想像しただけで息切れしそうです(;´∀`)
この研究の実験では、被験者(テニスの初心者)にストロークを1分間に32~38球を打たせる(゚Д゚; )ということをしたのですが、フォアハンドとバックハンドを別々にして行なう(1分間フォアだけをやり、その後にバックだけをやる)条件と、1分の間にフォアとバックを交互に打つ条件を作ります。そして、この練習をした後に、フォアとバックそれぞれの肩の回転と腰の回転がどれだけ増えたかを、この2つの条件間で比較するというものです。
この実験の結果は、交互に打つ群は練習前よりも肩と腰の回転の量が増えた(フォロースルーが大きくなった)ので、手打ちが改善されました。一方、別々に打つ群では練習前よりも肩と腰の回転の量が小さくなり、手打ちの傾向が強くなってしまいました。
では、どうしてこのような結果になったかについてです。フォアハンドのテイクバックは時計回りの方向で、フォロースルーは反時計回りのスイングです。バックハンドは逆で、テイクバックは反時計回り、フォロースルーは時計回りです。このため、フォアorバックだけを反復する場合は、テイクバックとフォロースルーのスイング方向が反対なので、体の回転方向を切り替えなければなりません。ですので、1分間に30球以上のハイペースとなると、フォロースルーを小さくしたほうが次の打球のためのテイクバックを取りやすくて、次の打球の準備が早く、楽にできてしまうことから、フォアorバックを別々に行なった群では肩と腰の回転量が小さくなった(フォロースルーが小さくなった)と考えられます。
フォアとバックを交互に打つ場合は、フォアorバックだけを反復する場合と逆になります。フォロースルーとテイクバックのスイング方向は同じなので、体の回転方向の切り替えをする必要はありません。ですので、1分間に30球以上のハイペースでフォアとバックを交互に打つ場合は、フォロースルーを大きくすれば次の打球のためのテイクバックを取りやすく、次の打球の準備が早くでき、楽になります。このため、この練習を行なった後に体の回転量が増えた(フォロースルーが大きくなった)という結果になったと考えられます。
この研究が明らかにしたいことは手打ちを改善する練習方法ではありません。練習環境の制約(場のデザイン)によって、学習者の意図的な制御がなくても望ましい学習ができれば望ましくない学習にもなる、ということの一例を示している研究といえます。
こんなことを意識しながら練習する人はほとんどいないでしょうし、かなり難しいと思います。この観点から、この手打ちを改善する練習方法以外の練習方法を思いつくことができません…。何かあるでしょうか?とりあえず、この練習方法は役に立つものだとは思います。それよりも、1分間で38球も打つ練習なんて想像しただけで息切れしそうです(;´∀`)
2007年08月26日
団体戦の結果
今日はダブルス3つの団体戦でした。チームの結果は3位で、私の結果は2勝1敗でした。自分にとっては初めての団体戦、ダブルスの大会でしたが、ペアを組んで頂いた方のおかげでリラックスした状態でゲームに臨むことが出来て、とても楽しかったです。
今日の反省。
最初は主に良かったところについて。ペアの方に「ダブってもいいからセカンドサーブも振り抜いて」というアドバイスを頂いたおかげで、サーブは思い切って打つことが出来ました。セカンドサーブでいくつかポイントを取れた所は良かったと思います。ただ、セカンドもファーストも、もっとコースを狙えたんじゃないかと思います…。また、スピンの効いたフォアハンドを、少しですが有効的に使えました(前に詰めてきた人の足元をえぐる&トップスピンロブで頭を抜く、速くはないけど深くて弾むショット)。3~4球程だけでしたが、今まで自分の特色のトップスピンを生かすことが出来なかったことを考えると、これはいい所だと思います。これからは、トップスピンを生かしたショートクロス気味のボールを使って相手を左右に動かすことが出来るようになれれば…と思います。
続いて悪かったところについて。一番失点の多かったのがリターンでした。前衛に引っかからず、かつ、ある程度深く返球できるブロックリターンを覚えるべきだと思います。次に多い失点がバックハンドストロークで、変に迷いがあるせいか、どうでもいい所でミスしました。やっぱり、両手打ちと片手打ちの両方を使おうという考えがよくなかったか(;´∀`)?この点についてはこれからもっとしっかり考えたいです…。その他には、ラリー中にどんな球を打つべきかを落ち着いて考えることが出来ませんでした。これは経験が足りないところと、普段の練習でもあまり考えていないところの両方が原因だと思います。
今日の試合を振り返ると、毎度のことながら悪い点のほうがたくさん出てきます。しっかり反省して次に生かしたいと思います。
今日の反省。
最初は主に良かったところについて。ペアの方に「ダブってもいいからセカンドサーブも振り抜いて」というアドバイスを頂いたおかげで、サーブは思い切って打つことが出来ました。セカンドサーブでいくつかポイントを取れた所は良かったと思います。ただ、セカンドもファーストも、もっとコースを狙えたんじゃないかと思います…。また、スピンの効いたフォアハンドを、少しですが有効的に使えました(前に詰めてきた人の足元をえぐる&トップスピンロブで頭を抜く、速くはないけど深くて弾むショット)。3~4球程だけでしたが、今まで自分の特色のトップスピンを生かすことが出来なかったことを考えると、これはいい所だと思います。これからは、トップスピンを生かしたショートクロス気味のボールを使って相手を左右に動かすことが出来るようになれれば…と思います。
続いて悪かったところについて。一番失点の多かったのがリターンでした。前衛に引っかからず、かつ、ある程度深く返球できるブロックリターンを覚えるべきだと思います。次に多い失点がバックハンドストロークで、変に迷いがあるせいか、どうでもいい所でミスしました。やっぱり、両手打ちと片手打ちの両方を使おうという考えがよくなかったか(;´∀`)?この点についてはこれからもっとしっかり考えたいです…。その他には、ラリー中にどんな球を打つべきかを落ち着いて考えることが出来ませんでした。これは経験が足りないところと、普段の練習でもあまり考えていないところの両方が原因だと思います。
今日の試合を振り返ると、毎度のことながら悪い点のほうがたくさん出てきます。しっかり反省して次に生かしたいと思います。
2007年08月22日
ヌマウタスズメの過剰産出
ヌマウタスズメの歌(さえずり)の学習についての話です。
最初に、このスズメがどのように歌を学習するのかについて書きたいともいます。このスズメが生まれてだいたい生後9ヶ月までは親の歌を聞き、そのときから少しずつ歌います。そして、10ヶ月か11ヶ月くらいまで特徴を大げさに表現した、不規則な歌を歌います(過剰産出といいます)。その間に大げさに表現している歌を親の歌に合わせるようにして調整し、親と同じような完成した歌になります。学習しようとすることをしっかり観察する→それを大げさに実践してみる→それを完成品に合わせて調整する、という流れです。
このように、倣おうとするものを大げさにまねするという方法は、テニスで新しいことを身に着けるのにも有効だと思います。例えば、サーブがオーバーする傾向にあるなら前につんのめるほど前方向にトスを上げる、ローボレーのときに重心が高すぎるなら後ろ足の膝を地面につけるくらい曲げる…など、この過剰産出はたくさんの使い方があると思います。
最後に、なぜこの過剰産出が私たちの運動学習にも有効であると思うかについてです。これは私の持論なので聞き流しても結構です(;´∀`)鳥の歌は求愛に用いられるので、歌を上手に歌えないと子孫繁栄や種の存続の危機になります。歌を上手く学習できない鳥は、長い歴史の中で自然淘汰され絶滅するでしょう。ですので、歌の学習はより効率よく、より確実な方法である必要があります。このように考えると、ヌマウタスズメが現存しているということは、ヌマウタスズメの過剰産出という学習方法は進化と自然淘汰の長い歴史の中で洗練された、効率的で確実な学習方法である、ということを示していると私は思っています。
最初に、このスズメがどのように歌を学習するのかについて書きたいともいます。このスズメが生まれてだいたい生後9ヶ月までは親の歌を聞き、そのときから少しずつ歌います。そして、10ヶ月か11ヶ月くらいまで特徴を大げさに表現した、不規則な歌を歌います(過剰産出といいます)。その間に大げさに表現している歌を親の歌に合わせるようにして調整し、親と同じような完成した歌になります。学習しようとすることをしっかり観察する→それを大げさに実践してみる→それを完成品に合わせて調整する、という流れです。
このように、倣おうとするものを大げさにまねするという方法は、テニスで新しいことを身に着けるのにも有効だと思います。例えば、サーブがオーバーする傾向にあるなら前につんのめるほど前方向にトスを上げる、ローボレーのときに重心が高すぎるなら後ろ足の膝を地面につけるくらい曲げる…など、この過剰産出はたくさんの使い方があると思います。
最後に、なぜこの過剰産出が私たちの運動学習にも有効であると思うかについてです。これは私の持論なので聞き流しても結構です(;´∀`)鳥の歌は求愛に用いられるので、歌を上手に歌えないと子孫繁栄や種の存続の危機になります。歌を上手く学習できない鳥は、長い歴史の中で自然淘汰され絶滅するでしょう。ですので、歌の学習はより効率よく、より確実な方法である必要があります。このように考えると、ヌマウタスズメが現存しているということは、ヌマウタスズメの過剰産出という学習方法は進化と自然淘汰の長い歴史の中で洗練された、効率的で確実な学習方法である、ということを示していると私は思っています。
2007年08月19日
メンタルトレーニングについて
メンタルトレーニング(以下MT)という言葉を聞いたことがある人は多いでしょうし、興味がある人も多いと思います。今回はMT全般のお話です。
まず始めに
現場がMTに期待するのはパフォーマンス改善の即効性ですが、現実的には「わずかな投資で奇跡を期待してはならない」
というMT界の偉い方の言葉通りだそうです。また、現在では日本スポーツ心理学会が公認する、「スポーツMT指導士」という資格があるそうです。このことからも、MTの敷居は高いような印象を受けます。ですが、MTに関する本は数多く出版されているので、それを参考にすることは出来ると思います。理論やデータに基づかない、非実証的なものもあるかもしれませんが、次の3つはちゃんとした内容の本らしいです。紹介文もあわせて書いておきます。
「メンタルトレーニングワークブック」 中込四郎(1994)道和書院
MTで用いられる主要な心理技法について豊富な実践例に基づき解説している
「日本人のメンタルトレーニング」 長田一臣(1995)スキージャーナル
著者独自の立場から、トップアスリートへの心理サポートの実践例が豊富に紹介されている
「スポーツメンタルトレーニング教本」 日本スポーツ心理学会(2002)大修館書店
日本スポーツ心理学会が認定するスポーツメンタルトレーニング指導士のためのテキストとして位置づけられている
MTの役割
MTの役割はスポーツ選手の心理的要因を強化することです。その要因を具体的に挙げると、意欲の向上、不安・緊張のコントロール、集中力の向上、チームワークの強化…などなど多岐に及びます。
MTではどのようなことをするのか
始めはアセスメント(評価)から始まります。現在の自身の状態を把握して、MTにおける課題を明確にするためです。
アセスメントは面接や、専用の質問紙テストなどで行なわれます。アセスメントを元にトレーニングするのですが、次のようなことを行ないます。(詳細はわかりませんので、どのようなことをするかだけです…)
リラクセーション技法
呼吸法、筋弛緩法など
イメージ技法
理想的な動作のイメージをするなど
目標設定技法
明確に目標を設定し、それを達成するためのプランを立てる
ピークパフォーマンス分析
最高のプレーが出来たときの心理状態を分析し、理解する
暗示技法
自分に語りかけるなど
モニタリング技法
自分の行動を観察して記録し、自分にとって最適な状態を把握する
MTという言葉は知っているけど、具体的なMTは知らない方が大多数だと思いますが(私もその1人でした)、そのような方々向けに書いたつもりです。少しでもMTについての理解に貢献できたら幸いです。
まず始めに
現場がMTに期待するのはパフォーマンス改善の即効性ですが、現実的には「わずかな投資で奇跡を期待してはならない」
というMT界の偉い方の言葉通りだそうです。また、現在では日本スポーツ心理学会が公認する、「スポーツMT指導士」という資格があるそうです。このことからも、MTの敷居は高いような印象を受けます。ですが、MTに関する本は数多く出版されているので、それを参考にすることは出来ると思います。理論やデータに基づかない、非実証的なものもあるかもしれませんが、次の3つはちゃんとした内容の本らしいです。紹介文もあわせて書いておきます。
「メンタルトレーニングワークブック」 中込四郎(1994)道和書院
MTで用いられる主要な心理技法について豊富な実践例に基づき解説している
「日本人のメンタルトレーニング」 長田一臣(1995)スキージャーナル
著者独自の立場から、トップアスリートへの心理サポートの実践例が豊富に紹介されている
「スポーツメンタルトレーニング教本」 日本スポーツ心理学会(2002)大修館書店
日本スポーツ心理学会が認定するスポーツメンタルトレーニング指導士のためのテキストとして位置づけられている
MTの役割
MTの役割はスポーツ選手の心理的要因を強化することです。その要因を具体的に挙げると、意欲の向上、不安・緊張のコントロール、集中力の向上、チームワークの強化…などなど多岐に及びます。
MTではどのようなことをするのか
始めはアセスメント(評価)から始まります。現在の自身の状態を把握して、MTにおける課題を明確にするためです。
アセスメントは面接や、専用の質問紙テストなどで行なわれます。アセスメントを元にトレーニングするのですが、次のようなことを行ないます。(詳細はわかりませんので、どのようなことをするかだけです…)
リラクセーション技法
呼吸法、筋弛緩法など
イメージ技法
理想的な動作のイメージをするなど
目標設定技法
明確に目標を設定し、それを達成するためのプランを立てる
ピークパフォーマンス分析
最高のプレーが出来たときの心理状態を分析し、理解する
暗示技法
自分に語りかけるなど
モニタリング技法
自分の行動を観察して記録し、自分にとって最適な状態を把握する
MTという言葉は知っているけど、具体的なMTは知らない方が大多数だと思いますが(私もその1人でした)、そのような方々向けに書いたつもりです。少しでもMTについての理解に貢献できたら幸いです。
2007年08月18日
固有FBと付加的FB
前回では固有フィードバック、とりわけ内在フィードバックについていろいろと書きました。今回は付加的フィードバックについてです。(以下、フィードバックをFBと略します)
運動学習のFBを簡単にまとめると、
1、固有FB…運動遂行者自身の感覚から得られるFB
1-1、内在FB…筋肉、感覚、皮膚の感覚から得られるFB
1-2、外在FB…視覚、聴覚から得られるFB
2、付加的FB…他者やビデオなどから得られるFB
となります。大きく分けて固有FBと付加的FBの2種類で、固有FBも内在FBと外在FBの2種類に分けられます。それぞれのFBの説明については前回の記事を見てください。
前回では、運動学習には固有FB、特に内在FBが重要と言いましたが、付加的FBが不必要であるというわけではありません。外在FBに注意が向きにくいため内在FBは気づき難いですが、その気づき難い分を補うために付加的FBを与えられます。
しかし、付加的FBをたくさん与えればよいという訳ではないようです。付加的FBはパフォーマンス(そのときの成績)を向上することができますが、付加的FBへの依存を高めてしまうことで本来重要な固有FBが得難くなり、学習には効果的ではないという指摘があるようです。なんとも難しいですね…。コーチはこんなことを考えて指導するとなると大変ですね(;´∀`)
付加的FBの呈示方法にもいろいろあって、いつFBを与えるか、どれくらいの頻度で与えるのか、どれくらい具体的にあたえるのか、学習者が必要なときだけ与えるのか…などなど、考え所が非常に多いです。
最後に、付加的FBの有効的な与え方をまとめておきます。
1、失敗を指摘するのではなく、修正点を伝える。
2、最小限にする。
あまりに多いと固有FBの処理が出来なくなる。
時間的に長すぎるのもよくない。固有FBと付加的FBの照合が困難になる。
(照合するというのは、学習者自身が固有FBと付加的FBを
比較して次にどうすればいいかを考える、ということです)
一度に多くのことを伝えるのも同様によくない。
3、出来るだけ具体的に伝える。
打点をもっと前にする、と言うより、今のよりも30cm前にする、と言うように。
4、運動後に少し間をおきつつ、早く伝える。
固有FBの情報は非常に短い間しか保持されないと考えられており、
時間を置いて付加的FBを与えると、付加的FBと固有FBの照合が難しい。
しかし、学習者が固有FBを処理する(考える)時間も必要なので、
即時に付加的FBを与えると付加的FBの依存傾向を高める恐れがある。
5、学習者にどのようなことを考えているのか、
何を教えて欲しいのか聞いてみる。
6、FBを多様な媒体で伝える。
(言葉で伝える、実際にやってみせるデモンストレーションなど)
本に書いてあるのをまとめてみたんですが、こうしてはいけない、だけどああしてもいけない、という項目が目立ちます。上手に教えるにはたくさんの経験が必要だ、ということでしょうか。
次回はメンタルトレーニングについて書きたいと思います。
運動学習のFBを簡単にまとめると、
1、固有FB…運動遂行者自身の感覚から得られるFB
1-1、内在FB…筋肉、感覚、皮膚の感覚から得られるFB
1-2、外在FB…視覚、聴覚から得られるFB
2、付加的FB…他者やビデオなどから得られるFB
となります。大きく分けて固有FBと付加的FBの2種類で、固有FBも内在FBと外在FBの2種類に分けられます。それぞれのFBの説明については前回の記事を見てください。
前回では、運動学習には固有FB、特に内在FBが重要と言いましたが、付加的FBが不必要であるというわけではありません。外在FBに注意が向きにくいため内在FBは気づき難いですが、その気づき難い分を補うために付加的FBを与えられます。
しかし、付加的FBをたくさん与えればよいという訳ではないようです。付加的FBはパフォーマンス(そのときの成績)を向上することができますが、付加的FBへの依存を高めてしまうことで本来重要な固有FBが得難くなり、学習には効果的ではないという指摘があるようです。なんとも難しいですね…。コーチはこんなことを考えて指導するとなると大変ですね(;´∀`)
付加的FBの呈示方法にもいろいろあって、いつFBを与えるか、どれくらいの頻度で与えるのか、どれくらい具体的にあたえるのか、学習者が必要なときだけ与えるのか…などなど、考え所が非常に多いです。
最後に、付加的FBの有効的な与え方をまとめておきます。
1、失敗を指摘するのではなく、修正点を伝える。
2、最小限にする。
あまりに多いと固有FBの処理が出来なくなる。
時間的に長すぎるのもよくない。固有FBと付加的FBの照合が困難になる。
(照合するというのは、学習者自身が固有FBと付加的FBを
比較して次にどうすればいいかを考える、ということです)
一度に多くのことを伝えるのも同様によくない。
3、出来るだけ具体的に伝える。
打点をもっと前にする、と言うより、今のよりも30cm前にする、と言うように。
4、運動後に少し間をおきつつ、早く伝える。
固有FBの情報は非常に短い間しか保持されないと考えられており、
時間を置いて付加的FBを与えると、付加的FBと固有FBの照合が難しい。
しかし、学習者が固有FBを処理する(考える)時間も必要なので、
即時に付加的FBを与えると付加的FBの依存傾向を高める恐れがある。
5、学習者にどのようなことを考えているのか、
何を教えて欲しいのか聞いてみる。
6、FBを多様な媒体で伝える。
(言葉で伝える、実際にやってみせるデモンストレーションなど)
本に書いてあるのをまとめてみたんですが、こうしてはいけない、だけどああしてもいけない、という項目が目立ちます。上手に教えるにはたくさんの経験が必要だ、ということでしょうか。
次回はメンタルトレーニングについて書きたいと思います。
2007年08月17日
フィードバックと運動学習モデル
スポーツ心理学の本を読み始めて少し経ちますが、第一弾です。フィードバックと運動学習モデルについてです。書いてみたら長くなってしまったので、目次みたいなものを書きます。
①フィードバックとは
②固有フィードバック(内在・外在フィードバック)と付加的フィードバック
③運動学習においてどのフィードバックが重要か
④運動学習モデルにおいて内在フィードバックが重要な理由
⑤次回予告(固有フィードバックと付加的フィードバックの関係)
③に私の言いたいことを書きました。
①②はそのために必要な説明です(長いですけど…)。
興味と余力がある方は④も読んでみてください。
①
フィードバックはそのままでも日本語で通じることが多いと思いますが、もともとは工学用語のようでして、「あるシステムにおいて出力情報を何らかの形で入力側にもどすこと」という意味だそうです。心理学で使われる場合は、「行動の結果や過程の情報を得て、その情報をもとに行動を修正すること」という意味合いになると思います。
②
運動学習におけるフィードバックには大きく分けて2種類あります。1つは、行動を行なった人がその行動をしたときの自分の感覚から得ることが出来る固有フィードバックというものです。もう1つは、他者や撮影したビデオなどから得ることが出来る、付加的フィードバックというものです。ややこしいですが、固有フィードバックも2種類に分けられまして、内在フィードバックと外在フィードバックがあります。内在フィードバックはどれだけ力を入れたかとか、どんな感触だったかとか、どれくらい関節を曲げたのか、といった事に関するフィードバックです。外在フィードバックは、自分が打った球がアウトになったかとか、打球音がどうだったのか、といったことに関するものです。この2つをまとめると、内在フィードバックは筋肉、関節、皮膚からの感覚(自分の体の中で起こったことに関する感覚)、外在フィードバックは視覚と聴覚(外界で起こったことに関する感覚)からのフィードバックです。
③
運動の学習において最も重要なフィードバックは内在フィードバックのようです。ほとんどの人がそんなことを気にしないでテニスをしていると思います(私も…)。ヒトは視覚優位な動物なので、どうしても目に見えて分かりやすい、外在フィードバックに気をとられてしまうからです。(余談ですが、ヒトが対面で会話しているとき、コミュニケーションの80%は視覚的な情報によって伝達されていると言われています)ですので、注意が向きにくい筋肉、関節、皮膚からの感覚を意識することで、内在フィードバックの質が向上すると考えられます。例えば、今の力の入れ具合だと少し短いからもう少し力を入れてみよう、今のローボレーよりもっと膝を曲げて打ったらどうなるかな、薄い当たりの感触だったので、もう少し厚い当たりになるようにしてみよう、などなどです。
④
なぜ内在フィードバックが最も重要なのかについてです。ヒトがどのようにして運動を制御しているかを示すモデルは色々ありますが、その多くで内在フィードバックが最も運動学習に有効と言われています。その中の運動学習のスキーマ理論のモデルで説明します。始めに、このモデルを簡単に説明します(必要な所をかいつまんで…)。ヒトがある運動をするときに、この筋肉はこれくらい収縮させて、この関節はこれくらい曲げて…といったのように、それぞれの器官に逐一入力するのではないと考えるのが妥当とされています。このように制御すると情報処理量が莫大になってしまうからです。スキーマ理論では、運動を制御するプログラムが作られており、ひとつのまとまりが形成されていると考えられています。極端に言うと、1つの入力によっての複数の器官に出力されるということです。そのプログラミングはフィードバックによって形成されます。物を掴むという運動は、日常で繰り返して行なう運動で普段からフィードバックが積み重ねられているため、誰でも物を掴むという運動のプログラムが形成されています。ですが、テニスのストロークのような非日常的で複雑な運動は、プログラミングの形成に多くの時間と手間が掛かってしまいます。プログラミングの形成に最も直結している(近い)フィードバックが、内在フィードバックであるということから最も重要であると言われています。物を掴むという行動を始め、運動の本質は視覚的な感覚によるものではなくて、筋骨格筋と皮膚の感覚によるものである、ということだと思います。(ここらのことが本にはっきりと書かれていないので曖昧ですが…)
ここまで書くのに1時間半掛かりました…疲れた(;´∀`)
⑤
次は固有フィードバックと付加的フィードバックの関係についてです。このままでは、内在フィードバックが重要なら、教えてもらうといった付加的フィードバックはいらないじゃん、ということになりますからね。
①フィードバックとは
②固有フィードバック(内在・外在フィードバック)と付加的フィードバック
③運動学習においてどのフィードバックが重要か
④運動学習モデルにおいて内在フィードバックが重要な理由
⑤次回予告(固有フィードバックと付加的フィードバックの関係)
③に私の言いたいことを書きました。
①②はそのために必要な説明です(長いですけど…)。
興味と余力がある方は④も読んでみてください。
①
フィードバックはそのままでも日本語で通じることが多いと思いますが、もともとは工学用語のようでして、「あるシステムにおいて出力情報を何らかの形で入力側にもどすこと」という意味だそうです。心理学で使われる場合は、「行動の結果や過程の情報を得て、その情報をもとに行動を修正すること」という意味合いになると思います。
②
運動学習におけるフィードバックには大きく分けて2種類あります。1つは、行動を行なった人がその行動をしたときの自分の感覚から得ることが出来る固有フィードバックというものです。もう1つは、他者や撮影したビデオなどから得ることが出来る、付加的フィードバックというものです。ややこしいですが、固有フィードバックも2種類に分けられまして、内在フィードバックと外在フィードバックがあります。内在フィードバックはどれだけ力を入れたかとか、どんな感触だったかとか、どれくらい関節を曲げたのか、といった事に関するフィードバックです。外在フィードバックは、自分が打った球がアウトになったかとか、打球音がどうだったのか、といったことに関するものです。この2つをまとめると、内在フィードバックは筋肉、関節、皮膚からの感覚(自分の体の中で起こったことに関する感覚)、外在フィードバックは視覚と聴覚(外界で起こったことに関する感覚)からのフィードバックです。
③
運動の学習において最も重要なフィードバックは内在フィードバックのようです。ほとんどの人がそんなことを気にしないでテニスをしていると思います(私も…)。ヒトは視覚優位な動物なので、どうしても目に見えて分かりやすい、外在フィードバックに気をとられてしまうからです。(余談ですが、ヒトが対面で会話しているとき、コミュニケーションの80%は視覚的な情報によって伝達されていると言われています)ですので、注意が向きにくい筋肉、関節、皮膚からの感覚を意識することで、内在フィードバックの質が向上すると考えられます。例えば、今の力の入れ具合だと少し短いからもう少し力を入れてみよう、今のローボレーよりもっと膝を曲げて打ったらどうなるかな、薄い当たりの感触だったので、もう少し厚い当たりになるようにしてみよう、などなどです。
④
なぜ内在フィードバックが最も重要なのかについてです。ヒトがどのようにして運動を制御しているかを示すモデルは色々ありますが、その多くで内在フィードバックが最も運動学習に有効と言われています。その中の運動学習のスキーマ理論のモデルで説明します。始めに、このモデルを簡単に説明します(必要な所をかいつまんで…)。ヒトがある運動をするときに、この筋肉はこれくらい収縮させて、この関節はこれくらい曲げて…といったのように、それぞれの器官に逐一入力するのではないと考えるのが妥当とされています。このように制御すると情報処理量が莫大になってしまうからです。スキーマ理論では、運動を制御するプログラムが作られており、ひとつのまとまりが形成されていると考えられています。極端に言うと、1つの入力によっての複数の器官に出力されるということです。そのプログラミングはフィードバックによって形成されます。物を掴むという運動は、日常で繰り返して行なう運動で普段からフィードバックが積み重ねられているため、誰でも物を掴むという運動のプログラムが形成されています。ですが、テニスのストロークのような非日常的で複雑な運動は、プログラミングの形成に多くの時間と手間が掛かってしまいます。プログラミングの形成に最も直結している(近い)フィードバックが、内在フィードバックであるということから最も重要であると言われています。物を掴むという行動を始め、運動の本質は視覚的な感覚によるものではなくて、筋骨格筋と皮膚の感覚によるものである、ということだと思います。(ここらのことが本にはっきりと書かれていないので曖昧ですが…)
ここまで書くのに1時間半掛かりました…疲れた(;´∀`)
⑤
次は固有フィードバックと付加的フィードバックの関係についてです。このままでは、内在フィードバックが重要なら、教えてもらうといった付加的フィードバックはいらないじゃん、ということになりますからね。
2007年08月14日
スポーツ心理学の本を購入
1ヶ月ほど前にアマゾンでスポーツ心理学の本を注文していたのですが、
調達困難とのことで発送されていませんでした。
ですが、近くの本屋に行ってみたらスポーツ心理学の本が一冊ありました。
専門向けでリファレンスも載っていたことからしっかりしたものと判断、
その上つい最近発行されたものだったので購入しました。
「心理学の世界 専門編8 スポーツ心理学 からだ・運動と心の接点」
という本です(培風館 2400円+税)。
素人向けの本ではないと思います…。
内容はスポーツ心理学全域です。
第1章 スポーツ心理学とは
第2章 運動の制御
第3章 運動技能の学習
第4章 運動技能の指導
第5章 発達と運動
第6章 スポーツと動機づけ
第7章 スポーツと指導者
第8章 スポーツへの参加と離脱
第9章 スポーツとパーソナリティ
第10章 運動とメンタルヘルス
第11章 メンタルトレーニング
第12章 スポーツカウンセリング
スポーツ心理学がこんなに広い領域を持っているとは思いませんでした(;´∀`)
索引まであわせると300ページ程もあります。
まだ第2章の途中しか読んでいませんが、今まで全く知らなかった分野なので、
興味深く読んでいます。(専門外なのでよくわからない部分もあるけど…)
テニスの動作を材料に実験した研究もちらほら見られます。
きっとテニスに役立つことも多いでしょう。
出来るだけ早く読んで、役立つようなことがあったら記事にしたいと思います。
調達困難とのことで発送されていませんでした。
ですが、近くの本屋に行ってみたらスポーツ心理学の本が一冊ありました。
専門向けでリファレンスも載っていたことからしっかりしたものと判断、
その上つい最近発行されたものだったので購入しました。
「心理学の世界 専門編8 スポーツ心理学 からだ・運動と心の接点」
という本です(培風館 2400円+税)。
素人向けの本ではないと思います…。
内容はスポーツ心理学全域です。
第1章 スポーツ心理学とは
第2章 運動の制御
第3章 運動技能の学習
第4章 運動技能の指導
第5章 発達と運動
第6章 スポーツと動機づけ
第7章 スポーツと指導者
第8章 スポーツへの参加と離脱
第9章 スポーツとパーソナリティ
第10章 運動とメンタルヘルス
第11章 メンタルトレーニング
第12章 スポーツカウンセリング
スポーツ心理学がこんなに広い領域を持っているとは思いませんでした(;´∀`)
索引まであわせると300ページ程もあります。
まだ第2章の途中しか読んでいませんが、今まで全く知らなかった分野なので、
興味深く読んでいます。(専門外なのでよくわからない部分もあるけど…)
テニスの動作を材料に実験した研究もちらほら見られます。
きっとテニスに役立つことも多いでしょう。
出来るだけ早く読んで、役立つようなことがあったら記事にしたいと思います。
2007年08月13日
シングルス大会結果
シングルスA
ノーアドバンテージ・8ゲームズプロセット
一回戦
0-8
完封負けでした…
相手はミスをしない、バックハンドスライスが異常に伸びるといった感じでした
失点の主な内容は、
伸びるスライスで5点ほど
必要のないバックハンドスライスを打って短くなってしまい、
フォアで強打されるパターンで10点ほど
ダブルフォールトで4点ほど
その他ミスで数知れず…
良かった点は、フラットのファーストサーブをセンターとワイドに
打ち分けられるようになったことで、エースを4点ほど取れたことです
ですが、その分ダブルフォールで帳消しでした(´ヘ`;)
セカンドサーブで上手く回転が掛からず、オーバーになる傾向です
入らないし、入ったとしてもあまりキックしないのでかなり弱体化しました
だからと言って0で負けるような相手ではないよなぁ、と思います
隣のコートの試合は8-5で終わったときも、こっちは試合途中でした
結局、ノーアドで0ゲームだったのに試合時間が50分も掛かったということは、
競っていたんだと思います
が、ゲームを取れなければ意味がありません…
次回出場する大会は26日の団体戦です
初めてのダブルスの大会ですが、それまでにはセカンドサーブを直したいものです
ノーアドバンテージ・8ゲームズプロセット
一回戦
0-8
完封負けでした…
相手はミスをしない、バックハンドスライスが異常に伸びるといった感じでした
失点の主な内容は、
伸びるスライスで5点ほど
必要のないバックハンドスライスを打って短くなってしまい、
フォアで強打されるパターンで10点ほど
ダブルフォールトで4点ほど
その他ミスで数知れず…
良かった点は、フラットのファーストサーブをセンターとワイドに
打ち分けられるようになったことで、エースを4点ほど取れたことです
ですが、その分ダブルフォールで帳消しでした(´ヘ`;)
セカンドサーブで上手く回転が掛からず、オーバーになる傾向です
入らないし、入ったとしてもあまりキックしないのでかなり弱体化しました
だからと言って0で負けるような相手ではないよなぁ、と思います
隣のコートの試合は8-5で終わったときも、こっちは試合途中でした
結局、ノーアドで0ゲームだったのに試合時間が50分も掛かったということは、
競っていたんだと思います
が、ゲームを取れなければ意味がありません…
次回出場する大会は26日の団体戦です
初めてのダブルスの大会ですが、それまでにはセカンドサーブを直したいものです
2007年08月10日
内田式クレペリン検査
テニスについて書くネタがないのでクレペリン検査についてあれこれ…。攻略法まで書いたら長くなったので、興味のある方だけご覧になってください
内田クレペリン検査は就職試験等で広く使われていますので、知っている人も多いと思います。検査用紙に数字が17行116列×2も羅列されていて、隣り合った数字を足し算してその数字の間に答えを書く(10以上の時は1の位を書く)というものです。被験者はひたすら足し算をしていき、1分経ったら次の行に移る…ということを前半15分、休憩5分、後半15分に渡って行います。非常に疲れますよ…。
この検査の目的は足し算という作業を行わせることで、性格や職業適性を測定するというものです。最初に自分の言いたいことを言うと、この検査は何の役にも立ちません。特に問題なく作業(仕事)ができる人がやっても「異常」と判定されるという研究結果が多数あります。その他にも色々な面から批判がされていますが、私としてはたかが足し算をするだけで性格や職業適性を測定できるとは思えません…。また、この検査は半世紀前から使われているので世間一般に攻略法が知られています(間違った攻略法も出回っていますが…)。その意味でもこの検査は役に立たないと言えるでしょう。
多くの批判があるにも関わらず、この検査が多く使われている原因を考えると、検査を実施する人事側が「他の人がたくさん使っているんだからこれを使おう」ということで使っているのだと思います。もう1つの原因として「お金」になるからと考えられます。この検査用紙は1枚80円程します(著作権の関係でコピーはできません)。試験時の指示を録音したCDは2000円程です。この検査を判定する人向けの判定法の講習はうん万円もするそうです。その上、攻略本も数多く出版されています。ぼろい商売ですね…。こんな検査が公務員の採用試験でも多く使われています。税金を使ってこんな検査をするなんてまさに無駄ではないでしょうか?
最後に…こんな検査で引っかかってしまうのは非常にもったいないので、判定基準と攻略法を書いておきます。この検査を受ける人のお役に立てればと思います。
一番重要なのは作業曲線です。簡単に言うと計算量の時間ごとの変化です。「.」が計算をして記入した数字として、本来は15分ですが行がかさんでしまうので、都合上7分間やったとします。
...............................................
.......................................
..................................
..............................
.........................
............................
................................
こんな感じになるのが理想です。これは理想なので、計算量に多少の増減があっても大丈夫です。「.」の数は適当ですので、作業曲線だけについて参考にしてください。
チェックポイント1
一番最初の計算量が一番多い
チェックポイント2
次第に計算量が落ちていく
チェックポイント3
最後の辺りで計算量が増える
チェックポイント4
計算量に極端な増減が無い
この4つがとりあえず重要になります。あと、前半の最後の行と5分の休憩を挟んだ後半の最初の行が比較され、前半の最後より後半の最初の計算量が多いと「正常」とされます。これも重要なので気をつけましょう。
計算量の多少も判定要素の1つですが、それほど計算量は多い必要はありません。正確な計算量の判定基準は忘れてしまいましたが、こんなものなのか、と感じるほどだったので、ほとんどの人には問題ないと思います。ですので一生懸命計算せず、多少手を抜いたほうがいいです。一生懸命計算すると途中で疲れて計算量が落ち込んでしまい、チェックポイント4に引っかかる恐れがあります。
また、誤答はよろしくないので正確に計算・記入しましょう。
色々と述べましたが、整然と作業曲線が↑で書いたようにならないといけないわけでなく、多少ギザギザになるのが普通ですので、そこまで神経質になる必要はありません。
また、↓のように計算量を変化させないようにする攻略法が出回っていますが、これは間違いなので真似しないようにしましょう。
...............................................
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長々と説明しましたが、このようなことを意識しなくても多くの人はほぼ理想的な作業曲線になります。ですが、このようにならなかった人はおかしい、ということではないので気にする必要は全くありません。このような間違った心理検査(テスト)がなくなる日はいつ来るんだろうか…と思います。
内田クレペリン検査は就職試験等で広く使われていますので、知っている人も多いと思います。検査用紙に数字が17行116列×2も羅列されていて、隣り合った数字を足し算してその数字の間に答えを書く(10以上の時は1の位を書く)というものです。被験者はひたすら足し算をしていき、1分経ったら次の行に移る…ということを前半15分、休憩5分、後半15分に渡って行います。非常に疲れますよ…。
この検査の目的は足し算という作業を行わせることで、性格や職業適性を測定するというものです。最初に自分の言いたいことを言うと、この検査は何の役にも立ちません。特に問題なく作業(仕事)ができる人がやっても「異常」と判定されるという研究結果が多数あります。その他にも色々な面から批判がされていますが、私としてはたかが足し算をするだけで性格や職業適性を測定できるとは思えません…。また、この検査は半世紀前から使われているので世間一般に攻略法が知られています(間違った攻略法も出回っていますが…)。その意味でもこの検査は役に立たないと言えるでしょう。
多くの批判があるにも関わらず、この検査が多く使われている原因を考えると、検査を実施する人事側が「他の人がたくさん使っているんだからこれを使おう」ということで使っているのだと思います。もう1つの原因として「お金」になるからと考えられます。この検査用紙は1枚80円程します(著作権の関係でコピーはできません)。試験時の指示を録音したCDは2000円程です。この検査を判定する人向けの判定法の講習はうん万円もするそうです。その上、攻略本も数多く出版されています。ぼろい商売ですね…。こんな検査が公務員の採用試験でも多く使われています。税金を使ってこんな検査をするなんてまさに無駄ではないでしょうか?
最後に…こんな検査で引っかかってしまうのは非常にもったいないので、判定基準と攻略法を書いておきます。この検査を受ける人のお役に立てればと思います。
一番重要なのは作業曲線です。簡単に言うと計算量の時間ごとの変化です。「.」が計算をして記入した数字として、本来は15分ですが行がかさんでしまうので、都合上7分間やったとします。
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こんな感じになるのが理想です。これは理想なので、計算量に多少の増減があっても大丈夫です。「.」の数は適当ですので、作業曲線だけについて参考にしてください。
チェックポイント1
一番最初の計算量が一番多い
チェックポイント2
次第に計算量が落ちていく
チェックポイント3
最後の辺りで計算量が増える
チェックポイント4
計算量に極端な増減が無い
この4つがとりあえず重要になります。あと、前半の最後の行と5分の休憩を挟んだ後半の最初の行が比較され、前半の最後より後半の最初の計算量が多いと「正常」とされます。これも重要なので気をつけましょう。
計算量の多少も判定要素の1つですが、それほど計算量は多い必要はありません。正確な計算量の判定基準は忘れてしまいましたが、こんなものなのか、と感じるほどだったので、ほとんどの人には問題ないと思います。ですので一生懸命計算せず、多少手を抜いたほうがいいです。一生懸命計算すると途中で疲れて計算量が落ち込んでしまい、チェックポイント4に引っかかる恐れがあります。
また、誤答はよろしくないので正確に計算・記入しましょう。
色々と述べましたが、整然と作業曲線が↑で書いたようにならないといけないわけでなく、多少ギザギザになるのが普通ですので、そこまで神経質になる必要はありません。
また、↓のように計算量を変化させないようにする攻略法が出回っていますが、これは間違いなので真似しないようにしましょう。
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長々と説明しましたが、このようなことを意識しなくても多くの人はほぼ理想的な作業曲線になります。ですが、このようにならなかった人はおかしい、ということではないので気にする必要は全くありません。このような間違った心理検査(テスト)がなくなる日はいつ来るんだろうか…と思います。
2007年08月03日
ルーティン~条件付けの観点から~
最近、ルーティンという言葉をよく聞きます。ウィンブルドンではナダルのルーティンについて注目が集まりました。そこで、ルーティンにはどのような有用性があるのかを自分なりに考えてみまして、「練習通りの調子(落ち着き)でプレーできるようになる」のではないかと思いました。そして、これを「条件付け」で説明できるのではないかと考えました。
「条件付け」に聞き覚えがない人は多いと思いますが、パブロフの犬なら聞いたことがあると思います。犬に肉を見せると唾液が分泌されます。ベル音を聞かせても唾液は分泌されません。しかし、肉を見せると同時にベル音を聞かせるということを数回行なうと、肉を見せずにベル音を聞いただけでも唾液が分泌されるようになる、という現象です。このようなことがどのように起こるかについては諸説ありますが、2つの出来事が結びついた、と言えば分かりやすいでしょうか。
それを踏まえて「練習通りの調子(落ち着き)でプレーできるようになる」についての説明です。ルーティンとして行なう行為自体には何の意味は持ちません。(ゲームが始まる前に靴下を直す、という行為をするだけでパフォーマンスが良くなることは考えられないでしょう…)ですが、リラックスした状態の練習で何度もルーティンを行なうと、「リラックスした状態」と「ルーティンを行なうこと」の2つが結びつく可能性が考えられます。ですので、試合などの緊張する場面でも普段から行なっているルーティンをすることで、練習のときのようにリラックスした状態になる、ということです。
…以上のように考えましたが、必ずしもルーティンがリラックス状態に結びつくとは限りません。犬と比べてヒトはずっと複雑ですからね。でも、条件付けはヒトにも起こります。自分以外の店員が「いらっしゃいませ!」と言ったらその後に自分も「いらっしゃいませ!」と復唱するバイトをしていると、他の関係ない店に客としているときに店員が「いらっしゃいませ!」と言ったら、自分も「いらっしゃいませ!」と言ってしまうとか…。「いらっしゃいませ!と聞くこと」と、「いらっしゃいませ!と言うこと」が結びついたんでしょうかね…自分の体験談でした(;´∀`)
「条件付け」に聞き覚えがない人は多いと思いますが、パブロフの犬なら聞いたことがあると思います。犬に肉を見せると唾液が分泌されます。ベル音を聞かせても唾液は分泌されません。しかし、肉を見せると同時にベル音を聞かせるということを数回行なうと、肉を見せずにベル音を聞いただけでも唾液が分泌されるようになる、という現象です。このようなことがどのように起こるかについては諸説ありますが、2つの出来事が結びついた、と言えば分かりやすいでしょうか。
それを踏まえて「練習通りの調子(落ち着き)でプレーできるようになる」についての説明です。ルーティンとして行なう行為自体には何の意味は持ちません。(ゲームが始まる前に靴下を直す、という行為をするだけでパフォーマンスが良くなることは考えられないでしょう…)ですが、リラックスした状態の練習で何度もルーティンを行なうと、「リラックスした状態」と「ルーティンを行なうこと」の2つが結びつく可能性が考えられます。ですので、試合などの緊張する場面でも普段から行なっているルーティンをすることで、練習のときのようにリラックスした状態になる、ということです。
…以上のように考えましたが、必ずしもルーティンがリラックス状態に結びつくとは限りません。犬と比べてヒトはずっと複雑ですからね。でも、条件付けはヒトにも起こります。自分以外の店員が「いらっしゃいませ!」と言ったらその後に自分も「いらっしゃいませ!」と復唱するバイトをしていると、他の関係ない店に客としているときに店員が「いらっしゃいませ!」と言ったら、自分も「いらっしゃいませ!」と言ってしまうとか…。「いらっしゃいませ!と聞くこと」と、「いらっしゃいませ!と言うこと」が結びついたんでしょうかね…自分の体験談でした(;´∀`)