2007年08月17日
フィードバックと運動学習モデル
スポーツ心理学の本を読み始めて少し経ちますが、第一弾です。フィードバックと運動学習モデルについてです。書いてみたら長くなってしまったので、目次みたいなものを書きます。
①フィードバックとは
②固有フィードバック(内在・外在フィードバック)と付加的フィードバック
③運動学習においてどのフィードバックが重要か
④運動学習モデルにおいて内在フィードバックが重要な理由
⑤次回予告(固有フィードバックと付加的フィードバックの関係)
③に私の言いたいことを書きました。
①②はそのために必要な説明です(長いですけど…)。
興味と余力がある方は④も読んでみてください。
①
フィードバックはそのままでも日本語で通じることが多いと思いますが、もともとは工学用語のようでして、「あるシステムにおいて出力情報を何らかの形で入力側にもどすこと」という意味だそうです。心理学で使われる場合は、「行動の結果や過程の情報を得て、その情報をもとに行動を修正すること」という意味合いになると思います。
②
運動学習におけるフィードバックには大きく分けて2種類あります。1つは、行動を行なった人がその行動をしたときの自分の感覚から得ることが出来る固有フィードバックというものです。もう1つは、他者や撮影したビデオなどから得ることが出来る、付加的フィードバックというものです。ややこしいですが、固有フィードバックも2種類に分けられまして、内在フィードバックと外在フィードバックがあります。内在フィードバックはどれだけ力を入れたかとか、どんな感触だったかとか、どれくらい関節を曲げたのか、といった事に関するフィードバックです。外在フィードバックは、自分が打った球がアウトになったかとか、打球音がどうだったのか、といったことに関するものです。この2つをまとめると、内在フィードバックは筋肉、関節、皮膚からの感覚(自分の体の中で起こったことに関する感覚)、外在フィードバックは視覚と聴覚(外界で起こったことに関する感覚)からのフィードバックです。
③
運動の学習において最も重要なフィードバックは内在フィードバックのようです。ほとんどの人がそんなことを気にしないでテニスをしていると思います(私も…)。ヒトは視覚優位な動物なので、どうしても目に見えて分かりやすい、外在フィードバックに気をとられてしまうからです。(余談ですが、ヒトが対面で会話しているとき、コミュニケーションの80%は視覚的な情報によって伝達されていると言われています)ですので、注意が向きにくい筋肉、関節、皮膚からの感覚を意識することで、内在フィードバックの質が向上すると考えられます。例えば、今の力の入れ具合だと少し短いからもう少し力を入れてみよう、今のローボレーよりもっと膝を曲げて打ったらどうなるかな、薄い当たりの感触だったので、もう少し厚い当たりになるようにしてみよう、などなどです。
④
なぜ内在フィードバックが最も重要なのかについてです。ヒトがどのようにして運動を制御しているかを示すモデルは色々ありますが、その多くで内在フィードバックが最も運動学習に有効と言われています。その中の運動学習のスキーマ理論のモデルで説明します。始めに、このモデルを簡単に説明します(必要な所をかいつまんで…)。ヒトがある運動をするときに、この筋肉はこれくらい収縮させて、この関節はこれくらい曲げて…といったのように、それぞれの器官に逐一入力するのではないと考えるのが妥当とされています。このように制御すると情報処理量が莫大になってしまうからです。スキーマ理論では、運動を制御するプログラムが作られており、ひとつのまとまりが形成されていると考えられています。極端に言うと、1つの入力によっての複数の器官に出力されるということです。そのプログラミングはフィードバックによって形成されます。物を掴むという運動は、日常で繰り返して行なう運動で普段からフィードバックが積み重ねられているため、誰でも物を掴むという運動のプログラムが形成されています。ですが、テニスのストロークのような非日常的で複雑な運動は、プログラミングの形成に多くの時間と手間が掛かってしまいます。プログラミングの形成に最も直結している(近い)フィードバックが、内在フィードバックであるということから最も重要であると言われています。物を掴むという行動を始め、運動の本質は視覚的な感覚によるものではなくて、筋骨格筋と皮膚の感覚によるものである、ということだと思います。(ここらのことが本にはっきりと書かれていないので曖昧ですが…)
ここまで書くのに1時間半掛かりました…疲れた(;´∀`)
⑤
次は固有フィードバックと付加的フィードバックの関係についてです。このままでは、内在フィードバックが重要なら、教えてもらうといった付加的フィードバックはいらないじゃん、ということになりますからね。
①フィードバックとは
②固有フィードバック(内在・外在フィードバック)と付加的フィードバック
③運動学習においてどのフィードバックが重要か
④運動学習モデルにおいて内在フィードバックが重要な理由
⑤次回予告(固有フィードバックと付加的フィードバックの関係)
③に私の言いたいことを書きました。
①②はそのために必要な説明です(長いですけど…)。
興味と余力がある方は④も読んでみてください。
①
フィードバックはそのままでも日本語で通じることが多いと思いますが、もともとは工学用語のようでして、「あるシステムにおいて出力情報を何らかの形で入力側にもどすこと」という意味だそうです。心理学で使われる場合は、「行動の結果や過程の情報を得て、その情報をもとに行動を修正すること」という意味合いになると思います。
②
運動学習におけるフィードバックには大きく分けて2種類あります。1つは、行動を行なった人がその行動をしたときの自分の感覚から得ることが出来る固有フィードバックというものです。もう1つは、他者や撮影したビデオなどから得ることが出来る、付加的フィードバックというものです。ややこしいですが、固有フィードバックも2種類に分けられまして、内在フィードバックと外在フィードバックがあります。内在フィードバックはどれだけ力を入れたかとか、どんな感触だったかとか、どれくらい関節を曲げたのか、といった事に関するフィードバックです。外在フィードバックは、自分が打った球がアウトになったかとか、打球音がどうだったのか、といったことに関するものです。この2つをまとめると、内在フィードバックは筋肉、関節、皮膚からの感覚(自分の体の中で起こったことに関する感覚)、外在フィードバックは視覚と聴覚(外界で起こったことに関する感覚)からのフィードバックです。
③
運動の学習において最も重要なフィードバックは内在フィードバックのようです。ほとんどの人がそんなことを気にしないでテニスをしていると思います(私も…)。ヒトは視覚優位な動物なので、どうしても目に見えて分かりやすい、外在フィードバックに気をとられてしまうからです。(余談ですが、ヒトが対面で会話しているとき、コミュニケーションの80%は視覚的な情報によって伝達されていると言われています)ですので、注意が向きにくい筋肉、関節、皮膚からの感覚を意識することで、内在フィードバックの質が向上すると考えられます。例えば、今の力の入れ具合だと少し短いからもう少し力を入れてみよう、今のローボレーよりもっと膝を曲げて打ったらどうなるかな、薄い当たりの感触だったので、もう少し厚い当たりになるようにしてみよう、などなどです。
④
なぜ内在フィードバックが最も重要なのかについてです。ヒトがどのようにして運動を制御しているかを示すモデルは色々ありますが、その多くで内在フィードバックが最も運動学習に有効と言われています。その中の運動学習のスキーマ理論のモデルで説明します。始めに、このモデルを簡単に説明します(必要な所をかいつまんで…)。ヒトがある運動をするときに、この筋肉はこれくらい収縮させて、この関節はこれくらい曲げて…といったのように、それぞれの器官に逐一入力するのではないと考えるのが妥当とされています。このように制御すると情報処理量が莫大になってしまうからです。スキーマ理論では、運動を制御するプログラムが作られており、ひとつのまとまりが形成されていると考えられています。極端に言うと、1つの入力によっての複数の器官に出力されるということです。そのプログラミングはフィードバックによって形成されます。物を掴むという運動は、日常で繰り返して行なう運動で普段からフィードバックが積み重ねられているため、誰でも物を掴むという運動のプログラムが形成されています。ですが、テニスのストロークのような非日常的で複雑な運動は、プログラミングの形成に多くの時間と手間が掛かってしまいます。プログラミングの形成に最も直結している(近い)フィードバックが、内在フィードバックであるということから最も重要であると言われています。物を掴むという行動を始め、運動の本質は視覚的な感覚によるものではなくて、筋骨格筋と皮膚の感覚によるものである、ということだと思います。(ここらのことが本にはっきりと書かれていないので曖昧ですが…)
ここまで書くのに1時間半掛かりました…疲れた(;´∀`)
⑤
次は固有フィードバックと付加的フィードバックの関係についてです。このままでは、内在フィードバックが重要なら、教えてもらうといった付加的フィードバックはいらないじゃん、ということになりますからね。