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テニスと心理学の架け橋 心理学のテニスへの応用を考える…よりもストリングのことを考えているかも

ジミー
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定位反応

 ゲーム中には周りで色々なことが起こります。例えば、大きな物音がしたり、となりのコートからボールが転がってきたり。そんなことがあると気が取られてしまいます。そんなことに気を取られるなんて集中力が足りん!という意見もあるかも知れませんが、(必ずとは言いませんが)かなり無理な要求だと思います。そんなことで、定位反応のお話です。

 定位反応とは、周囲の環境に変化が起こったときに、そちらに注意が向く反応をいうものです(自分ではそう思っています)。この反応を最初に述べたのはパブロフです。あの有名な「パブロフの犬」のパブロフです。ベルを鳴らしただけで犬がヨダレだらだらになるような(古典的)条件づけがよく知られていますが、この定位反応はあまり知られていない様に思います。このパブロフの犬がドアが開くとそちらに振り向く反応をしたことから、定位反応は「おやなんだ反応(反射)」とも呼ばれます。
 定位反応はただ単にそちらを振り向くだけの反応ではなく、身体の生理反応にも変化がみられます。例えば、手の汗(SCR振幅の増大)、心拍数の低下などです。なぜこんな機能が備わっているかを考えると、周りで身体に危険なことが突如起こったときに、そちらに注意を向けるようにしておけば危険を回避しやすくなることに役立つからかもしれません。
 定位反応を生じないようにする方法として、慣れ(馴化)があります。静かな部屋でドアが開くと誰でも振り向くと思いますが、多くの人が出入りする部屋だったらドアが開くたびに振り向く人はまずいないでしょう。慣れによって生じにくくなるというのは、定位反応のひとつの特徴です。

 テニスの話しに戻りましょう。テニスのゲーム中は大きな物音がしたり、ボールが転がってきたりすることはそれほど頻繁に起こらないと思います。なので、そのようなことに対して慣れが生じて、定位反応が起こらなくなるということもないでしょう(花火大会中にテニスをするならそんなことがあるかも知れませんが)。
 要するに、突然起こったことに注意が向いてしまうことは当然なので、その突然起こったことがレットする理由に足りるならば、レットでリプレイザポイントにしたほうがいい、というのが自分の意見です。レットしてもいいのに我慢して続行してミスすると、「レットすればよかった…」と悔やむことはあると思います。逆に「レットしなければよかった…」と思うことはまずないでしょう。後腐れがないように、レットは遠慮するものではないと思います。
生理系 | 投稿者 ジミー 23:04 | コメント(0)| トラックバック(0)

ボールを目で追うこと・見ること⑧

 ボールを目で追うこと・見ること⑦の続きです。今までで言いたいことはだいたい言ったので、今回はこれまでをまとめて最終回にします。


 まずは今までのまとめです。
 眼球運動の速度ではボールを目で追うことは到底できないことと言ったことから始まりました。これから言えることは、打点は予測されるものなので、インパクトの瞬間を見ていてもボールの正確な位置、正確なヒットにはつながらないだろう、ということです。ここまでがこのシリーズの前半に当たるかと思います。
 後半です。フェデラーのようにインパクト(打点)を見続けることは、他の意味があるということから始まりました。それは、頸反射が起こらないから体の軸が安定する、ということです。しかし、フェデラーのフォアハンドのフィニッシュを見ると、顔の向きは正面から右向きへと変化しています。そのため、頸反射を起こさないのではなく、むしろ積極的に生起させているようにもみえます。このような顔の向きの変化がもたらすのは、ラケットのヘッドスピードの加速であると述べました。これが⑦までのお話です。


 さて、打点を見続けることは頸反射を起こさないから安定性が増すのか、頸反射を起こすからヘッドスピードが加速するのか、どっちなの?という疑問が出てきます。僕は両方あると思います。最後にこれらについて述べようと思います。

 両方あると考えたのは、顔の向きは大きく分ければ上下方向と左右方向の2つに分けられるからです。打点を見続ければ、顔の向きは左右方向には変化しますが、上下方向には変化しません。このことから、左右方向に動くことはヘッドスピードの加速につながるし、上下方向に動かないことはスイングの上下方向の安定性の増加につながると考えられます。


 これらを踏まえての話です。頸反射についてはフォアハンドを例にして書いてきました。では、その他のバックハンドやボレーはどうなるのか考えてみます。

 まずは、顔の左右方向の向きとヘッドスピードについてです。打点を見続けると顔の左右方向の向きが変わるスイングならば、ヘッドスピードが加速します。つまり、体が回転するようなスイングということになるでしょう。このように考えると、ストロークはヘッドスピードが加速しますが、ボレーなどはこの恩恵は受けにくいと思います。また、バックハンドは両手打ちか片手打ちで違いがあるかもしれません。両手よりも片手の方が体の回転は少ないように思います。だとすれば、両手は片手よりもスピードアップするだろうし、片手は無いことはないが両手ほどスピードアップしないと考えられます。

 次は、顔の上下方向の向きと安定性についてです。これについてはストロークだろうとボレーだろうと当てはまるのではないかと思います。左右方向と違って、体の回転は関係ありませんからね。ボレーで打点を比較的長く見る選手として思い出すのは、フェデラーとガスケでしょうかね。

 では、サーブやスマッシュはどうでしょうか?正直よくわかりません…、ごめんなさい。


 尻すぼみな形になりましたが、これで終わりです(;・∀・)。
 最後に一言。打点を見続けることが頸反射と関係しており、スイングスピードのアップと安定性につながるとかなんとか言ってきました。これらの内容は、何かの本を見て書いたのではありません(眼球運動の速度は心理学事典を参考にしました)。もしかしたら、今までこのようなことを言った人はいないかもしれませんし、少なくとも僕はそのような人や本は見たことがありません。眼球運動の速度や頸反射などについての知識をもとに、僕が考えて書きました。こんなことを言うと、このシリーズで書いたことを信用していいのか疑問に思われるかもしれません。何にしろ、名前が知られた学者でも何でもない僕が書いたわけですから。しかし、それでも僕が書いたことに納得して頂けたのなら、みなさんのテニスの参考にしてもらえたらと思います。
生理系 | 投稿者 ジミー 20:10 | コメント(0)| トラックバック(0)

ボールを目で追うこと・見ること⑦

 ボールを目で追うこと・見ること⑥の続きです。前回は、フォアハンドで打点に顔を残し続けることによる頸反射によって体の回転運動を減速させる、ということを書きました。今回はそれがどのような効果があるのかについてです。

 それを理解する前に説明しなければいけないことがあります。「二重振り子の原理」と言われるものです。これから書くのは二重振り子とは言えないような気もしますが、簡単に説明したいからなので、ご了承ください。


 こんな感じで重り(錘)がプランプランしている振り子があるとします。振り子1



 そこに杭を足します。そしてそこに糸が引っ掛かるとどうなるでしょうか。振り子2



 糸の途中が引っ掛かって止まると、重りの移動速度は加速します。振り子3



 今度はフォアハンド時の腕を振り子に当てはめてみます。振り子の糸は腕、重りはラケットに当たります。
 フォアハンド1



 そして、杭は肘にあたります。みなさんのフォアハンドのインパクトでは腕が一直線ではなくて肘が曲がっているのではないでしょうか。ちょうど、振り子の糸が杭に引っ掛かって止まるような形に。そうすることでラケットのヘッドスピードを増します。
フォアハンド2



 しかし、そのような効果を与えるのは肘だけではありません。フォアハンドのときには、腕だけではなくて体も動いています。図では反時計回りの方向に動きます。
 フォアハンド3



 ここでようやく前回の話が出てきます。スイング中に顔を打点に向け続けると、スイングの途中で顔は右方向を向くことになります。そうすると、頸反射によって左半身は時計回りの方向に動こうとします。これはフォアハンド時の体の回転する方向とは反対になります。そのため、反時計回りの回転が途中で減速させられるので、ラケットのヘッドスピードは加速すると考えられます。振り子の糸を止めるような杭に当たる働きをするのです。
 フォアハンド4



 以上をまとめると、「打点を見続けること」が「ラケットのヘッドスピードの加速につながること」ということです。今回はこれを言いたかったのです。そのために図をこしらえたり説明をどうしたら良いのか考えていたため、結構間が空いてしまいました。
 しかし、顔を打点に向け続けることは新たな「杭」を作ることではなくて、「杭」を強化するものだと思います。次の画像の⑥を見てください。左手が体の回転を抑えるような形になっています。みなさんもきっとそうなっているはず…。
ふぇでらーふぉあはんど



 長くなったこのシリーズですが、そろそろ終わりに近づきそうです。長くなりすぎたので、次回はこれまでのまとめを書こうと思います。
 ボールを目で追うこと・見ること⑧に続く。
生理系 | 投稿者 ジミー 12:41 | コメント(2)| トラックバック(0)

ボールを目で追うこと・見ること⑥

 ボールを目で追うこと・見ること⑤の続きです。
 前回では、フェデラーのように打点に顔の向きを固定することによって頸反射が起きないので、体の軸がブレることがなくコントロールが素晴らしい、と言いました。しかし、それに対して自分で自分に待ったを掛けました。今日はその続きです。

 また、フェデラーに登場していただきます(画像はこちらから拝借http://news.tennis365.net/lesson/pro/m_federer03.html)。
ふぇでらーふぉあはんど
 インパクト前とインパクト後を並べました。この2つを比べると、確かに顔は3次元空間上において大体同じ方向を向いています。しかし、これは顔が同じ方向を向いていると言えるでしょうか?その答えは明らかにNOです。頸反射という観点から考えるとそう答えるしかありません。体の向きをベースに顔の向きを見てみると、インパクト前の顔の向きは真正面か若干左方向ですが、インパクト後ではどう考えても右方向なのです。このことから、「顔の向きを固定することで頸反射を起こさないことにより…」という考えを考え直さなければいけません。逆に、頸反射を積極的に起こしていると考えるべきです。

 インパクト前では顔はだいたい正面を向き、スイングするにつれて右方向を向きます。これにより、頸反射がどのように影響するでしょうか。顔を右方向に向けると左半身が時計回りの方向に動こうとするのです。しかし、フォアハンドでは体は反時計回りに動きます。双方は互いに逆回転の動きをします。この2つを考えると、「フォアハンドでは体が反時計回りに動くが、顔を右方向に向けることによってその動きの速度を減速させている」と言えるのではないでしょうか。では、このようにすることがどのようなメリットを与えるのでしょうか?といったところで今回は終了です。

 次回は物理の話が混じる予定ですが、今まで物理を扱ったことがありません><なんとか頑張って書こうと思います。

 ボールを目で追うこと・見ること⑦に続く。
生理系 | 投稿者 ジミー 19:13 | コメント(0)| トラックバック(0)

ボールを目で追うこと・見ること⑤

 ボールを目で追うこと・見ること④の続きです。
 このシリーズもようやく本題に入り始めます。視線(顔)を打点に残すことについてどのような効果があるのかについてです。そのカギとなるのが「頸反射」です。聞きなれない言葉でしょうから若干説明します。
 「頸」とは「頸椎」の「頸」のことで、要するに「首」のことです。その首の向きや動きが全身の動きや向きに影響を与えることを「頸反射」といいます。おそらくこの説明でだいたいはあってると思います。ネットでもあまり出てこないし、自分が持ってる書籍にも出てこないので、これであってるのかどうかは少し自信がありません…。これであってるとさせてください。
 では、具体的に頸反射がどのような影響があるのかについてです。これは赤ん坊に特に顕著にみられます。仰向けに寝ている赤ん坊を想像して下さい。この赤ん坊の顔を右に向けると、左半身が前に出てくるようになります。顔の向きに引っ張られるように左半身が出てくる感じです。次に、赤ん坊の顔を右に傾けてみます。右耳が右肩に付く方向に傾けます。そうすると、左肩が上方向(頭のある方向)に上がるようになります。これを図にすると、こんな感じです。にこっ
笑顔が不気味ですが、わかっていただけたでしょうか(;・∀・)

 これらは赤ん坊では見られるもので、これを見ている皆さんがやってもこうはならないと思います。しかし、大人にも頸反射はあるのです。上記のような静止状態ではなく、体を動かしている時です。では、テニスではどのような影響をもつでしょうか。
 テニスで頸反射を実感しやすいのは、アンダーカットサーブだと思います。ソフトテニスでよく用いられるサーブです。腰よりも低いところから、横回転を掛けて打つサーブです。
アンダーカットサーブ
テニス365にアンダーサーブの画像があるとは思いませんでした…(http://news.tennis365.net/lesson/tokushu/doubles/doubles01_02.html)。

 では、頸反射を実感するにはどうすればいいのか。まず最初に、アンダーカットサーブを打った後に飛んで行ったボールの軌跡を見るようにしてください。そして、そのボールの高さを覚えていてください。次に、またアンダーカットサーブを打つのですが、今度は飛んで行ったボールを見るのではなく、我慢して打点に顔を残すようにしてください。ボールの高さは先ほどと比べてどうなるでしょうか?おそらく低くなるはずです。なぜこのようになるかというと、ボールの行方を見ることによって顔が上向きになり、その頸反射によってスイングの方向も上向きになったからです。対して、行方を見るのを我慢して打点に顔を残すと、頸反射が起きないので比較的ボールの弾道が低くなるのです。

 視線を打点に残すことがどのような効果があるのかを説明しようと思いましたが、上記の例で説明がついたと思います。打点を見続けることによって首(顔)の向きを保ち続けることにより、体の動きの軸を一定に保つことができる、ということができます。僕個人のエピソードですが、両手バックハンドを打つと体の軸が右に傾く癖がありました。そこで、打った後も打点を見続けるようにしたところ、右に傾くことはなくなりました。ボールの行方を見ることによって頸反射が生じ、体全体が右に傾いていたのだと思います。

 顔に打点を残すのが特に顕著なのがフェデラーです。
フェデラー・フォアハンド2
フェデラーといえば、コントロールが素晴らしいとよく言われます。その秘訣は、こんなにも打点に顔を残すことによって体の軸を安定させることによって達成していると言えるのではないでしょうか?

めでたし、めでたし…。





と行けばもっと早くこのシリーズは終わっています。僕もこれで終わりだと思っていました。

フェデラー・フォアハンド3

しかし、こんな画像を見せつけられたら、打点を見続けることには他の役割もあると考えさせられてしまいます。まだまだ終わらないこのシリーズ。次に続きます。

 ボールを目で追うこと・見ること⑥へ続く。
生理系 | 投稿者 ジミー 12:04 | コメント(0)| トラックバック(0)

覚醒とパフォーマンス⑤最適機能領域

 覚醒とパフォーマンスについてはこれが一応最後になります。最後は最適機能領域(ZOF:Zone Of Fanction)(Hanin,1986)についてです。
 ZOFでは、最適なパフォーマンスを発揮する不安の高さは、各個人によって異なる、ということを示しています。下の画像で示しているのは、3人いれば3人それぞれ最適な不安の高さがある、ということです。
ZOF

 ハニンの研究では、熟練した選手の競技前の不安を測定したところ、不安の高低のばらつきが非常に大きかったのです。測定した選手のこれまでの成績にはそれほどばらつきがないにもかかわらずです。このことから、選手によって望ましい不安水準は個人によって異なる、と彼は考えたのです。
 この考えをどう利用するかというと、不安水準が低い方が望ましい人は競技前にリラックスするようにすればよい、不安水準が高い方が望ましい人は、あれこれ気合を入れた方が良い、というように判断することができます。
 とはいえ、この考えについても様々な疑問があります。ハニンの実験では、競技前に不安水準を測定していますが、それが競技中の不安水準と一致するとは限らないからです。競技前の不安水準はバラバラだけど、競技中の不安水準はほとんどばらつきがない、ということもありうるのです。競技中の不安水準を測定するのが一番いいのですが、それは難しいでしょう。試合中に不安を測定する質問紙に記入してもらうことなんてできないし、無理やりそんなことをしても、それ自体が試合の邪魔でしょうし…。なかなか難しい問題だと思います。
生理系 | 投稿者 ジミー 22:28 | コメント(0)| トラックバック(0)

覚醒とパフォーマンス④カタストロフィ理論

 2か月ほど放置してましたが、しれっと続けます…。
 今回はカタストロフィ理論についてです。(Fazey and Hardy,1998)についてです。逆U字仮説は、覚醒水準が高すぎても低すぎてもパフォーマンスには悪影響である、ということ示しました。カタストロフィ理論では、不安が高い場合は、覚醒水準が高いと急激にパフォーマンスが低下する、という曲線を示しました。不安が高くない場合はというと、逆U字仮説と同じ曲線である、としています。

型


 たしかに、極度にプレッシャーを感じていると、まったく実力が出せなかった…というようなことはもっともらしい感じがします。この理論の検証をした実験はいくつかあります。被験者を「高不安群」と「低不安群」の2つに分けて、それぞれの群の平均を比べるというものです。結果は、確かにカタストロフィ理論が支持されるような結果は出ました。しかし、不思議なことに、最低なパフォーマンスが記録されたのも、最高のパフォーマンスが記録されたのも「高不安群」の方だったのです。
 このことから、不安は必ずしもパフォーマンスを害する要因にはならない、むしろ、パフォーマンスを改善する要因になりうる可能性があります。このことについてはまだまだ検証の必要があるみたいです。なぜ不安がパフォーマンスを改善するのかについての説明ができませんし、この考えに異議を唱えている研究者もいます。
 次は、最適機能領域についてです。
生理系 | 投稿者 ジミー 22:10 | コメント(0)| トラックバック(0)

覚醒とパフォーマンス③逆U字仮説

 前回の続きで、ヤーキスとドットソンの逆U字仮説(Yerkes and Dodson,1904)についてです。これもまた図から入ります。

逆U字

 覚醒水準が高すぎても低すぎてもパフォーマンスはよくない、最高のパフォーマンスを出すためには最適な覚醒水準が必要だ、ということを示しています。この理論では、熟達者でも過度に緊張して失敗してしまうことも説明できます。
 これにも但し書きがありまして、課題(スポーツ)の複雑さに応じて、最適な覚醒水準が変わります。たとえば、重量挙げのような単純で力を要するスポーツでは、最適な覚醒水準が高くなります(図の山が右にずれる)。逆に、ダーツのような力ではなく精密さを要求されるスポーツでは、最適な覚醒水準は低くなります(図の山が左にずれる)。
 この理論を応用すれば、重量挙げの選手は本番前に気合を入れて覚醒水準を高めるようにしたり、ダーツの選手はリラックスさせて覚醒水準を低くするようにすれば、より良いパフォーマンスを出せる、ということになります。


 この理論にも批判についてです。それは、人が感じる不安や心配などを考慮していないことです。この理論の時代では、覚醒と不安は同一のものとしていたのですが、今では同一のものではないとされているからです。
 なんだかわかりにくいですが…、「負けたらどうしよう…(;つД`)ミスしたらどうしよう…(TДT)」と過度に不安になっている状態も覚醒水準が高いと言えますが、「絶対勝つ(`・ω・´)!」と気合いが入っている状態も覚醒水準が高いと言えます。動因理論や逆U字仮説ではこれらを同一のものと考えている、ということです。

 次回は、不安に焦点を当てた理論についてです。
生理系 | 投稿者 ジミー 21:49 | コメント(0)| トラックバック(0)

覚醒とパフォーマンス②動因理論

 覚醒とパフォーマンスの関係についてはいくつか理論があります。その1つの、ハルの動因理論(Hull,1943)についてです。


 動因理論
 図で表すと簡単そうですが、いくつか但し書きがあります。

・覚醒水準が高いほど、その人が身につけている動作をしやすくなる
・熟達者ほど、身につけている動作は適切なので、覚醒水準が高いほど良いパフォーマンスができる
・一方、初心者が身につけている動作は適切でない場合が多いので、覚醒水準が高いほど悪いパフォーマンスになってしまう

(簡単に言うと、覚醒水準が高いほどその人の「素」とか「地」が出やすい、ということだとおもいます)

 しかし、この理論では過度に覚醒水準が高い場合に(過度に緊張している場合など)、熟達者でも失敗してしまうことについて説明できていません。
 その点を補う理論が、次の逆U字仮説です。
生理系 | 投稿者 ジミー 21:24 | コメント(0)| トラックバック(0)

覚醒とパフォーマンス①

 覚醒とパフォーマンスの関係についてです。今回は、覚醒とはなにか?についてです。

 日常生活で「覚醒」という言葉は、「目覚める」という意味でつかわれます。眠りから目覚める、だったり、自己の能力に目覚めるなどです。心理学では前者に近い意味です。覚醒の水準が最も低いのは寝ているときですが、「睡眠⇔覚醒」の2つだけではなく、起きているときにも覚醒の高低の水準があります。寝ているときは一番覚醒水準が低く、退屈していたり、リラックスしている状態も覚醒水準が低いと言えます。一方、興奮していたり、怒っていたり、不安を感じているときは覚醒水準が高いと言えます。
 では、覚醒の高低はなにで表わされるかというと、交感神経がどれだけ働いているか、と言えます。交感神経は自律神経の一つで、副交感神経と対になるものです。交感神経が活性化すると、血管の収縮、心拍数の増加、精神的発汗(手のひら、足の裏)の増加、呼吸回数の増加、瞳孔の拡大、消化活動の低下などが起こります。これは、ヒトが何らかの危機に陥った時に適した身体状態にするためにあると言われています。例えば、血管の収縮は傷を負っても血が流れにくくなります。心拍数の増加は、栄養や酸素をたくさん供給することができるようになります。手のひらの発汗は手と武器との摩擦力が大きくなるので武器が握りやすくなります。
 副交感神経は、交感神経の反対の働きをします。つまり、血管の拡大、心拍数の低下、精神的発汗の低下、呼吸回数の低下、瞳孔の縮小、消化活動の促進などです。副交感神経は、体を休めるためのもので、リラックスしているときは副交感神経が働きます。

 スポーツしているときに望ましいのは、交感神経の方ですが、交感神経がたくさん働いて、覚醒水準が高ければ高いほどいい、というわけではありません。覚醒水準は低すぎても高すぎてもいけないのです。次回はそれについて書きたいと思います。
生理系 | 投稿者 ジミー 20:45 | コメント(0)| トラックバック(0)

冷たい物のがぶ飲み注意

 動いた後や暑いときは冷たい飲み物を飲むと止まりませんが、一度に大量に飲むと下痢をするなど悪影響があります。
 これについて説明する前提になる酵素について説明します。酵素は栄養を分解して消化しやすい形にするものです。酵素は口や胃、腸などで分泌され、栄養を分解するほかにも雑菌を分解する働きもあります。また、酵素が最も効率よく働くのは体温くらいの温度(40度弱)で、それより低い温度では働きが鈍ります。

 なぜ下痢を起こすかを順に説明していくと、
冷たいものを一度に大量に飲むと胃の温度が冷える

酵素の働きが鈍り、栄養や雑菌が十分に分解されない

それを補うために腸で大量に消化液(腸液)を分泌する

その腸液が下痢の正体
というわけです。お腹が痛くて下痢だと、とてもじゃないですがテニスできませんね…。

 また、下痢として大量に水分が排出されるため、脱水症状の危険性もあります。ですので、下痢になったときには水分補給(もちろん冷たい物ではなく常温の物で)する必要があります。夏の暑い時期はついつい冷たいものをがぶ飲みしたくなりますが、体にとってはよろしくないので気をつけた方がいいでしょう。
生理系 | 投稿者 ジミー 18:30 | コメント(0)| トラックバック(0)

お腹が減らない?

 生理心理学が専門ということで、生理学についても触れたいと思います。
 運動をしていると空腹感を感じにくくなります。副交感神経よりも交感神経が活性化することが多くなるからです。特に大会などでは緊張したり、気持ちが高ぶっていたり、激しく動いたりするのでなおさらこの傾向が強くなります。

 交感神経と副交感神経について少し説明します。自律神経系には交感神経と副交感神経があります。自律神経系とは自分の意思とは関係なく自動で働く神経で、呼吸や脈拍、血圧、消化、代謝、体温などを調整します。交感神経は体を動かしたり働くときに優位な状態になります。もともとは生命の危機に遭遇した状況で逃げたり戦ったりするのに体を適した状態にするためであると言われています。副交感神経は逆で、休息やリラックスに適した状態になります。

 現代の生活で生命の危機に遭遇する状況は滅多にありませんが、ストレスを受けたり興奮したり激しい運動をしたりすると、その状況と同じように交感神経が活発化します。では、なぜ交感神経が働くと空腹感が無くなるかというと、生命の危機に遭遇した状態では空腹感は不必要だからです。そんな状況で空腹感を感じても気が散ってしまうだけだし、空腹を満たすために食事をする暇もありませんからね…。

 話を戻します。実際には栄養やカロリーなどが不足している状態なのですが、頭ではそのように感じていないだけですので、お腹が減っていないと感じていても定期的に栄養を取るべきです。集中力が低下したり、パフォーマンスに悪影響が出たりしかねません。特に夏の場合はちゃんと食事をしないと倒れることもあります…。空腹感が無いのに物を食べるのは億劫ですが、カロリーメイトなどの栄養食品なら簡単に栄養とカロリーを摂取できるのでお勧めです。
生理系 | 投稿者 ジミー 12:49 | コメント(0)| トラックバック(0)
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