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テニスと心理学の架け橋 心理学のテニスへの応用を考える…よりもストリングのことを考えているかも

ジミー
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道具の身体化

 テニスに関わらず道具を使うスポーツは多いです。スポーツ以外でも人間は道具を使います。道具を使うとき、「道具は手足の一部のようだ」というように例えられることがしばしばあります。そのように例えられるということは、ヒトがそのように感じるからだと思います。では、そのように感じることは正しいのでしょうか?人が持つと道具はそれ以上のものになりうるのでしょうか?ということで、道具の身体化に関する研究を紹介したいと思います。

 この類の研究の1つに、半側空間無視の症状があるヒトを被験者としたものがあります。
 
 半側空間無視とは、脳に損傷を負ったときに稀に見られる症状で、物の半分側を認識できない症状を言います。例えば、「この花の絵を描いてください」というと、その花の右半分しか描けなかったりします。食事をすると、皿の左半分しか食べなかったりします。左右のどちらを無視するかは、脳半球の左右どちらかを損傷したかによって決まります。右脳を損傷した場合は左側、左脳を損傷した場合は右側を認識できなくなります。また、見るものすべてが半分しか認識できなくなるとも限りません。自分の手の届く範囲のものだけ半分しか認識できなかったり、逆に手の届かない範囲のものだけ半分しか認識できなかったりすることもあるそうです。

 今回紹介する研究では、自分の手の届く範囲のものだけ右半分しか認識できないヒトを被験者としたものです。被験者にやってもらうことは面前にある線の真ん中を指してもらうという課題(二等分線課題)です。これにはいくつかの条件が設定されました。
①手の届くところにある線の真ん中を、手の指で指し示す
②手の届かないところにある線の真ん中を、レーザーポインターで指し示す
③手の届かないところにある線の真ん中を、棒で指し示す(棒の長さは線に十分届くもの)

 結果です。
 ①の条件では、被験者は線の真ん中よりもずっと右寄りの位置を指し示しました。つまり左半側無視が生じていました。
 ②の条件では、線のほぼ真ん中を指し示しました。つまり、半側無視は生じませんでした。
 ③の条件では、線の真ん中よりずっと右寄りの位置を指し示しました。左半側無視が生じていました。

 結果の考察です。①、②の結果から、被験者には手の届く範囲において左半側無視が生じると言えます。問題となるのは②と③の結果の比較です。②と③は、両条件とも手の届かない位置に線があります。ですが、②では半側無視が生じず、③では半側無視が生じたのです。①、②の結果から被験者は手の届く範囲のものだけに半側無視が生じるはずです。なのになぜ?
 これによって考えられるのは、棒が手の延長として認識されたということです。つまり棒を手の一部として認識していたのではないかということです。このことから、ヒトは道具を身体の一部として認識している、身体と同等に認識していることが示唆されます。

 「だからどうした?」と言われればそれまでかもしれません。この結果からスポーツにすぐに役立つことはないからです。ですが、道具が身体として認識されるならば、道具に気を遣うことはとても重要なのではないかと思います。きっとグリップにこだわることも重要なはずです…たぶん。 
認知系 | 投稿者 ジミー 09:43 | コメント(0)| トラックバック(0)
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