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テニスと心理学の架け橋 心理学のテニスへの応用を考える…よりもストリングのことを考えているかも

ジミー
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遺伝か環境か?

 前回を受けて、ヒトの性格は遺伝によって決まるのか、環境によって決まるのかについてです。ところが、性格についての研究に関する文献が手元にないので、IQに関して書きます…。

 遺伝か環境かを調べる手法として、双生児研究があります。これは、生まれて間もなく生き別れてしまった双子を探し出して、どれだけIQが類似しているかどうかを調べるものです。生き別れてしまった一卵性双生児は、遺伝子は同じですが、育った環境は異なります。一方、二卵生双生児は一卵性双生児よりも遺伝子の類似度は低いですが、血縁のない他人よりもずっと類似度が高いです。

 これらを比較した結果、IQの相関の平均は、
別々に育った一卵性双生児
一緒に育った二卵性双生児
一緒に育った兄弟姉妹
一緒に暮らしている親子
別々に育った二卵性双生児
養子の兄弟姉妹
別々に育った兄弟姉妹
の順にIQの相関が高い、という結果になりました。つまり、遺伝子の類似度が高いほどIQの相関が高い、ということです。別々に育った一卵性双生児のIQの相関は、およそ0.8であり、これによるとIQは遺伝によっておよそ80%決まるということになります。遺伝がかなり強い影響力を持っているといえます。

 ですが、この値はある個人内での遺伝の影響を表すものではなく、個人と個人の違いから得られたものです。つまり、そのヒト個人における遺伝の影響力ではありません。
 この他にも、この研究には課題があります。別々の環境で育ったとしても、まったく異なる環境で育ったとは言えません。同じ国で育ったのなら、ある程度同じ生活様式をもつでしょうし、ある程度同じ教育を受けることになります。同じ家庭で育ったとしても、まったく同じ環境で育っているとは言えません。また、養子を迎える家庭は裕福であることが多いので、サンプルに偏りが生じてしまいます。

 いくつか問題はあるとしても、遺伝か環境かについての研究手法としては、双生児研究が最も大きな知見を与えてくれていると思います。というより、これ以外の方法は無いようなものだと思います…。

 次回からは、またスポーツ心理学について書きたいと思います。
性格系 | 投稿者 ジミー 21:17 | コメント(0)| トラックバック(0)

スポーツと性格③~社会的学習理論

 今まで性格を決める要素として、遺伝子、状況について書きましたが、今回はそれに続きまして経験(社会的学習理論)です。
 社会的学習理論で重要なのは「条件付け」というものです。この条件付けには2種類あって、ひとつは「古典的条件付け」、もう一つは「オペラント条件付け」というものです。

 「古典的条件付け」とは、広く知られている「パブロフの犬」で発見されたものです。パブロフの犬について簡単に説明します。そもそも犬に肉を見せると唾液が分泌されます。ベルの音を聞かせても唾液は出ません。そこで、肉を見せると同時にベルの音を犬に呈示することを何度か行います。すると、肉を見せずに音を聞かせるだけで、唾液が分泌されるようになります。このように、生物が生来的に持っている反応(この場合、肉を見て唾液が分泌されるのは条件反射)が、それとは無関係な刺激(肉を見せることとベルの音にはそもそも関係はありません)によって引き起こされることを、古典的条件付けと言います。
 もう一つの「オペラント条件づけ」ですが、古典的条件付けは生物が生来的に持っている反応を引き起こすものですが、オペラント条件付けは生物が生来的に持っていない「行動」を引き起こすものです。これだけでは分かりにくいので例を示します。ケージの中に、ネズミと黒色の箱と白色の箱を置きます。もしネズミが黒色の箱に触った時だけエサを上げるようにします。すると、ネズミは白色よりも黒色の箱の方を選択して触るようになります。このように、白色より黒色のものを選択する、という行動は生物が生来的に持っていない行動を、それとは無関係な刺激によって引き起こされることをオペラント条件づけといいます。

 スポーツにおける性格については、後者のオペラント条件付けが当てはまります。たとえば、攻撃的なプレーをしたらよい結果が出た、コーチや先生に褒められた、観客から歓声が上がった、ということがあったことで、以前よりも攻撃的なプレーをするようになる(「強化」される)、といものです。あるいは、攻撃的なプレーをしなかったことで、怒られるといった「罰」が与えられることでも、攻撃的プレーをするように強化されます。また、反則に対してペナルティが与えられることは、反則をしないように強化しているとも考えられます。
 自分が経験した場合だけでなく、他人のプレーを見ても自分が強化されるようになることもあります。これを「代理強化」といいます。ですので、プロの選手が、反則やマナー違反などの好ましくないプレーをするということは、その選手に注目している人(特に子ども)に、間違った方向に強化を与えかねないことも考えられます。

 社会的学習理論(条件付け)についていろいろ書きましたが、これまで書いた特性論や状況主義と違って、社会的学習理論の立場では、性格は修正可能であるといえます。ですので、スポーツ心理学においてもこの立場が便利であると考えられます。子どもにスポーツを好きになってもらいたいなら、スポーツをする機会をたくさん与えて、褒めることや楽しいことを理解してもらえればいい、と考えられるからです。

 性格における3つの立場について書きましたが、この3つのどれが正しいということも、どれが間違っているということもないでしょう。この3つのすべてが性格を決定する要因であるからです。じゃあ、どの要因が優位なのか、という研究も当然あります。例えば、幼いころに生き別れた一卵双生児を比較する、という研究が有名です。
 スポーツとはそれますが、次回はこの「一卵双生児研究」について書きたいと思います。
性格系 | 投稿者 ジミー 16:04 | コメント(2)| トラックバック(0)

スポーツと性格②~状況主義

 前回の特性論に続いて、今回は状況主義です。状況主義とは、我々が取る行動や反応は性格によって決定されるのではなく、我々が置かれている状況によって決定されるというものです。

 前回、パフォーマンスの良し悪しに占める性格という要因は29%という研究があると書きましたが、この状況主義という立場でも同様の研究があります。特性論ではパフォーマンスに占める要因は性格とその他でしたが、状況主義では性格と状況の2つの要因があるので、要因は性格、状況、性格と状況の相互作用、その他の4つになります。その研究では、性格、状況、その相互作用の合計がパフォーマンスの良し悪しに占める割合は半分にも満たないという結果になっています。正確に状況という要因を足しても、やはりその他の要因が大きいという結果は、特性論とも変わらないようです。

 状況主義は、その状況に置かれた個人のふるまいを重要視することから、普段の性格は考慮する必要はなくスポーツ時の気分を測定すればよいのではないか、という考えがあります。その気分を測定するPOMS(Profile of Mood States:気分プロフィール検査)というものがあるようです。これは個人の緊張、抑鬱、怒り、活気、疲労、混乱の6つの尺度を測定するものです。もともとは精神病患者の状態を測定するためのものがスポーツ心理学に広まったそうです。おそらく、ヒトの気分はこの6つの因子によって構成されていると考えられたものだと思います。この検査の結果を一流選手とそうでない選手とで比較した研究があります。その結果は、一流選手は緊張、抑鬱、疲労、混乱の得点が低く、怒りがやや高く、活気がかなり高い、というものになりました。このような結果になることは、その他の多くの研究からも支持されているようです。
 しかし、一流選手でもこのような測定結果にならない人もいます。それは、この研究は一流選手とそうでない選手のPOMSの得点の平均を比較していることから、個人差が覆い隠されているためだという指摘があります。
 また、個人的な意見ですが、好ましいスポーツ時の気分が明らかになったとしても、その気分になるようにすることはできるのでしょうか。これも、特性論と同様で難しいものだと思います。

 これを書いていて、1つ思い出しました。去年のウィンブルドンで、フェデラーがチャンピオンシップポイントを決めた瞬間に泣き崩れる場面がありました。あれを見て、フェデラーは精神的に不安定だと思う人もいると思います。しかし、状況主義的な立場から考えたら、泣き崩れたのはテニスが終わった時なのだから、少なくともテニスをしている時は精神的に不安定だと言うことはできないんじゃないか、と思いました。

 次は、社会的学習理論について書きたいと思います。
性格系 | 投稿者 ジミー 23:17 | コメント(0)| トラックバック(0)

スポーツと性格①~特性論

 スポーツと性格との関係について、3回に分けて書きます。3回というのは、性格が決定される要因について3つの立場があるので、それ毎に書くためです。

 今回書くのは、特性論から考えたスポーツにおける性格です。特性論とは、簡単にいえば性格は遺伝によって決定されるものであり、ヒトの行動は主に生物学的な要因によって影響されるという理論です。変化することがない遺伝子によって決定されることから、そのヒトの性格は持続的で安定している、また、個人間の性格の差は遺伝子が異なることによって存在するということになります。
 特性論で有名なものとしては、アイゼンクの理論があります。これは、ヒトの性格は外向性の因子と神経質傾向の因子の2つだけで説明できる、という理論です。外向性とは活発性と社交性と衝動性の程度を表す性質であり、神経症傾向とは情緒の安定性を表す性質をいいます。どうして活発性と社交性と衝動性が外向性という1つの因子にまとめられているかというと、これらの3つには相関性があることが因子分析によってわかっているからです。これは、社交性が高い人は活発性も衝動性も高いということです。後の研究から、アイゼンクは精神病傾向という因子(頑固さ、優柔不断さ)を付け足し、性格は3つの因子で説明できる、としています。これらの3つの因子の測定はEPQ(アイゼンク人格検査)という質問紙による性格検査によって行われます。
 もう一つ有名なものは、キャッテルの理論があります。キャッテルは、性格を完全に説明するには3つの因子だけでは足りないと考え、因子分析によって16の因子を特定しました。アイゼンクのERIと同様に、これらの因子を測定するための16PFという性格検査があります。
 この2つの理論はヒトの性格すべてを説明するための理論ですが、性格の一側面だけに着目した理論(領域限定理論)も数多くあります。

 スポーツ心理学では、これらの理論の立場からスポーツ競技者と非競技者、また、優秀な選手とそうでない選手との間の性格の違いなどについての研究がおこなわれてきました。
 競技者と非競技者の性格の違いでは、EPQにおいて競技者は外向性と精神病傾向が高いという結果が得られたものや、16PFにおいて競技者は独立心と客観的の因子が高く、不安の因子が低いという結果が得られているものがあります。しかし、これらの結果を支持しない研究も多くあり、一貫した研究結果は得られていません。競技者と非競技者との性格の違いはないと言ってもいいのではないかと思います。
 優秀な選手とそうでない選手との性格の違いについては、アメリカの大学のスポーツ選手を技能レベルに応じて数段階に分類し、16PFで性格検査を行った研究があります。この研究の結果は、粘り強さ、外向性、集団依存性の因子と技能のレベルに相関がありました。しかし、これらの結果から得られた、個人間の技能のばらつきの統計的な説明率は29%でした。このことから、性格はスポーツにおける成功と関係はあるかもしれませんが、そのほかの要因の方が関わりが大きいと考えられます。
 しかし、これらの研究においても、このような結果が一貫して確認できていません。性格特性の測定からプロのアイスホッケー選手選手が予選会で選抜に通るかどうかを予測しようとした研究がありますが、性格と選抜の結果との間には何の関係もなかった、という結果でした。

 以上のように、特性論の立場からのスポーツ心理学における性格の研究について述べましたが、全体的に一貫した研究結果は得られていません。また、結果が出ている研究もありますが、これらの研究結果はスポーツにおいては応用が利きにくいと言えます。なぜなら、スポーツのパフォーマンスと性格との間に相関を発見して、スポーツに望ましい性格を把握できたとしても、既存の性格を望ましい性格に変化させることはとても難しいことだからです。
 また、特性論は性格は持続的で安定していると考える立場ですが、本当にそう言えるとは考えられません。状況によって私たちの行動や考えは大きく変化するからです。たとえば、一人だけの時とほかの人と一緒にいる時、仲のいい人と一緒のときと目上の人と一緒のとき、などなど容易に想像できます。またスポーツにおいても、普段の練習のときと試合の時を比較しても、ヒトのふるまいが一定であるとは言えないでしょう。
 次回は、状況を重視する状況依存主義の立場について書こうと思います。
性格系 | 投稿者 ジミー 21:49 | コメント(0)| トラックバック(0)

血液型人間学のうそ

 私の血液型はB型です。そのせいで損をしているようなことがあります。
例えば
?「血液型何型?」
私「B型です」
?「ふーん…(´ι _` )」
なんだか訝しげな返答が返ってくる…。
B型の方ならこんな状況が何度かあるのではないでしょうか?

 最初にはっきり言っておきますと、ヒトの血液型とパーソナリティには何の関係もありません。テニスと関係ありませんが、多くの方に正しく認識してもらいたくて書きました。
 B型のヒトは自己中心的、ということを例にとって説明します。B型のヒトが自己中心的である、というのは当たっています。じゃあ、正しいんじゃん(;´∀`)と思うかもしれませんが、当たっていること事体が正しいわけではありません。B型のヒトは自己中心的と言いますが、ヒトなら誰しも自己中心的な面があります。A型のヒトは几帳面と言いますが、どんなに大雑把なヒトでも常に大雑把ではなく、几帳面なところもあるのです。つまり、血液型に関係なく誰にでも当てはまることを言っているので、必然的に当たっていると感じるというカラクリなのです。ですので、特定の血液型を名指してこんな性格だ、というのは正しくないのです。

 これはバーナム効果と呼ばれるものです。占いなどでもこの効果は使われています。(ちなみに「バーナム」は詐欺師の名前です)

 血液型がパーソナリティに関係がある、と心理学的に正しいように語っている研究(?)がありますが、実にひどいものです。アンケートのサンプリング、統計的分析、その解釈・考察など、あらゆる面で偏った考えが見られ、最初から血液型がパーソナリティに関係がある、という答えありきのものでした。

 週刊誌やファッション誌、テレビなどで血液型について取り上げられていますが、報道している人たちは血液型がパーソナリティに関係が無いことは知っています。なぜ取り上げるのかというと、お金になるからです。血液型について取り上げれば雑誌の発行部数は伸びるし、テレビの視聴率も上がる、というのが現状なのです。血液型だけでなく、遊び半分(というより遊び全部)の心理テストについても同じです。

 遊び半分や間違った考えで心理学をお金儲けに使われることは、心理学者にとって心苦しいことです。世の人々に正しく心理学を理解していただきたい、と願っています。
性格系 | 投稿者 ジミー 12:57 | コメント(0)| トラックバック(0)
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