2007年09月01日
イメージトレーニングについて
イメージトレーニングという言葉を知っている人は多いと思います。パフォーマンス向上に役立つといわれていますが、どうして役立つのか、どのくらい効果があるのかについて知っている人は少ないと思います。今回はイメージトレーニングについて、主にその点について書きたいと思います。
最初に、運動するイメージをしたときの脳の状態についてです。最近では脳のどの部分が活性化しているかを測定するfMRI(機能的磁気共鳴断層撮影法)というものが発達しているので、脳の活動を視覚的に観察できるようになりました。その方法を用いて運動するイメージをしたときの脳の状態を観察すると、運動を実際にしたときと共通した運動野と体制感覚野の活動が見られるという報告が多くあります。例えば指を曲げるイメージをしたら、指の運動を司る部位と指を曲げたときの指の感覚を司る部位が活性化するということです。このことから、イメージトレーニングがパフォーマンス向上に役立つひとつの理由として、イメージをすることで脳の運動野が活性化することがあげられます。体を全く動かさなくて、頭の中でリハーサルを行なっている、といえます。
では、実際の運動と比べてイメージトレーニングはどれほどの効果があるかについてです。これについて、fMRIを用いて実際の運動時の脳の活性化具合と、その運動をイメージしたときの脳の活性化具合を比較した研究があります。この研究によると、イメージしたときの脳の活性化は、実際に運動したときの3割程度だそうです。
当たり前といえば当たり前ですが、やはり実際に体を動かさずにイメージするだけではだめだということです。ラマチャンドランの言葉を借りると、「想像が現実を超えることはありえない。もし、物を食べることを想像しただけで腹が満たされたら、人類は滅びてしまう」という言葉が当てはまると思います。
ですが、イメージトレーニングが3割の効果しかないとしても活用する機会は多いと思います。忙しくてテニスが出来ないとき、怪我をしてテニスが出来ないときなど、実際にテニスを出来ないときでも、パフォーマンス向上に役立たせることができるからです。また、イメージトレーニングを長期間重ねることにより、イメージトレーニングの効果をあげることが出来るのではないか、とも考えられています。
最後に、文中で出てきたラマチャンドランについて少し説明したいと思います。著書の「脳の中の幽霊」や「脳の中の幽霊、再び」がベストセラーになったことや、水曜9時からの日本テレビの番組(世界仰天ニュースだったか?)で取り上げらたことで、知っている人も多いかもしれません。
ラマチャンドランは現代の心理学者を代表する1人です。専門は神経心理学・神経外科で、幻肢の研究が最も有名です。幻肢とは、自己や手術によって切断された手足(四肢)が、まるでまだあるように感じることです。しかし、その無くなった四肢を動かすことが出来ずにとても邪魔な位置にあって困ってしまうことや、無いはずの四肢が痛い(幻肢痛)といったことになることもあります。無いはずの手足の痛みを治療するなんて無理なはずですが、ラマチャンドランは幻肢痛の治療法を開発しました。この治療法の開発は彼の偉大な功績の1つです。
もし詳しく知りたいなら、「脳の中の幽霊」・「脳の中の幽霊、再び」を読むことをお勧めします。心理学について詳しくない人でも読むことが出来る、非常に分かりやすい内容ですし、何よりおもしろいです。幻肢のこと以外にも触れられていて、私としては、神経心理学の立場から世界の様々な美術作品に共通する「美しさ」についての仮説が最も興味深かったです。この本は私のお勧めですので、機会があったらぜひ読んでみてください。
最初に、運動するイメージをしたときの脳の状態についてです。最近では脳のどの部分が活性化しているかを測定するfMRI(機能的磁気共鳴断層撮影法)というものが発達しているので、脳の活動を視覚的に観察できるようになりました。その方法を用いて運動するイメージをしたときの脳の状態を観察すると、運動を実際にしたときと共通した運動野と体制感覚野の活動が見られるという報告が多くあります。例えば指を曲げるイメージをしたら、指の運動を司る部位と指を曲げたときの指の感覚を司る部位が活性化するということです。このことから、イメージトレーニングがパフォーマンス向上に役立つひとつの理由として、イメージをすることで脳の運動野が活性化することがあげられます。体を全く動かさなくて、頭の中でリハーサルを行なっている、といえます。
では、実際の運動と比べてイメージトレーニングはどれほどの効果があるかについてです。これについて、fMRIを用いて実際の運動時の脳の活性化具合と、その運動をイメージしたときの脳の活性化具合を比較した研究があります。この研究によると、イメージしたときの脳の活性化は、実際に運動したときの3割程度だそうです。
当たり前といえば当たり前ですが、やはり実際に体を動かさずにイメージするだけではだめだということです。ラマチャンドランの言葉を借りると、「想像が現実を超えることはありえない。もし、物を食べることを想像しただけで腹が満たされたら、人類は滅びてしまう」という言葉が当てはまると思います。
ですが、イメージトレーニングが3割の効果しかないとしても活用する機会は多いと思います。忙しくてテニスが出来ないとき、怪我をしてテニスが出来ないときなど、実際にテニスを出来ないときでも、パフォーマンス向上に役立たせることができるからです。また、イメージトレーニングを長期間重ねることにより、イメージトレーニングの効果をあげることが出来るのではないか、とも考えられています。
最後に、文中で出てきたラマチャンドランについて少し説明したいと思います。著書の「脳の中の幽霊」や「脳の中の幽霊、再び」がベストセラーになったことや、水曜9時からの日本テレビの番組(世界仰天ニュースだったか?)で取り上げらたことで、知っている人も多いかもしれません。
ラマチャンドランは現代の心理学者を代表する1人です。専門は神経心理学・神経外科で、幻肢の研究が最も有名です。幻肢とは、自己や手術によって切断された手足(四肢)が、まるでまだあるように感じることです。しかし、その無くなった四肢を動かすことが出来ずにとても邪魔な位置にあって困ってしまうことや、無いはずの四肢が痛い(幻肢痛)といったことになることもあります。無いはずの手足の痛みを治療するなんて無理なはずですが、ラマチャンドランは幻肢痛の治療法を開発しました。この治療法の開発は彼の偉大な功績の1つです。
もし詳しく知りたいなら、「脳の中の幽霊」・「脳の中の幽霊、再び」を読むことをお勧めします。心理学について詳しくない人でも読むことが出来る、非常に分かりやすい内容ですし、何よりおもしろいです。幻肢のこと以外にも触れられていて、私としては、神経心理学の立場から世界の様々な美術作品に共通する「美しさ」についての仮説が最も興味深かったです。この本は私のお勧めですので、機会があったらぜひ読んでみてください。
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