2008年03月29日
内発的動機付けと外発的動機付け
動機付けはやる気とかモチベーションと同じ意味ですが、心理学では「動機付け」という用語が一般的なので、「動機付け」という用語を使いたいと思います。
今回取り上げるのは、内発的動機付けと外発的動機付けです。
内発的動機付けは、やろうとしていることそれ自体が動機付けになるものを言います。テニスで例えると、テニスすることが楽しい、上手くなっていくことが嬉しい、試合の興奮がたまらない…などなどが挙げられると思います。我々がスポーツを楽しむ、というのは内発的動機付けに当たります。自分の内面に由来する動機付けなので、「内発的」動機付けと言われます。
外発的動機付けは、やろうとしていること自体ではなく、それをすることによって得られる報酬、避けることができる罰によるものです。大会でもらえる賞品、他人からの称賛、親にやれと言われている…などが挙げられます。自分の内面ではなく、外部からの報酬や罰に由来する動機付けなので、「外発的」動機付けと言われます。
内発的動機付けと外発的動機付けの関係についてです。理想としては内発的動機付けと外発的動機付けの両方とも高い方がいいです。なので、内発的動機付けが低い選手に外発的動機付けをあたえればよい、という考えになります。しかし、外発的動機付けを高めると内発的動機付けが低くなってしまうことが多くの研究で示唆されています。
それを示す一つの実験として、Deci(1972)の実験があります。被験者に立体のパズルを制限時間内にできるだけ多く完成させてもらう、という課題をしてもらいます。
「SOMA」というもので、様々な形のパズルを組み合わせて、指定された形にするという課題です。
被験者は、パズルを1個完成させる毎に報酬として1ドル与えられる群と、報酬が全く与えられない群に分けられます。報酬あり群は、報酬なし群よりも外発的動機付けが高いと言えます。
その2つの群の間で何を比較するかというと、制限時間内で完成させたパズルの個数…ではありません。被験者が課題をやり終えると、実験者が、5~10分くらい部屋を離れること、その間パズルをやるなり雑誌を読むなり自由にしててよい、ということを告げて部屋を立ち去ります。測定したのは、実験者が部屋を離れているときに、被験者がパズルで遊んでいた時間でした。実験者にやれとも言われていない、報酬も与えられないという条件下でパズルに費やした時間が、内発的動機付けを表す測定指標である、ということです。
その時間を、報酬あり群となし群とで比較すると、報酬あり群の平均は約100秒、なし群の平均は約200秒という、二つの群では大きく異なる結果でした。この結果から、外発的動機付けを高めると内発的動機付けが低下する、と考察されます。
(話題から外れますが、どうやって実験者が離れた後に被験者がパズルで遊んでいた時間を測定したかというと、マジックミラーから覗き見していたのです。現在では、このようなことは倫理的側面から行うことはできません。とはいえ、内発的動機付けを測定する指標を、実験者が離れたあとにパズルで遊んでいた時間としたのは素晴らしいアイディアだと思います。)
この実験のほかにも、プロ選手が高額の契約を結ぶと成績が悪くなるという調査もあるようです(Cox,1998)。
物事を続けるには、外発的動機付けよりも内発的動機付けが高い方がいいと言えます。ダイエットのためだけにテニスを始めようと思っても長続きしないでしょう。ダイエットのために運動するなら、自分がやりたいと思う運動が最も長続きすると思います。私はテニスが好きなのでテニスをたくさんしているのですが、いっこうに体重が減りません…どうしたものか…( ; ゚Д゚)
今回取り上げるのは、内発的動機付けと外発的動機付けです。
内発的動機付けは、やろうとしていることそれ自体が動機付けになるものを言います。テニスで例えると、テニスすることが楽しい、上手くなっていくことが嬉しい、試合の興奮がたまらない…などなどが挙げられると思います。我々がスポーツを楽しむ、というのは内発的動機付けに当たります。自分の内面に由来する動機付けなので、「内発的」動機付けと言われます。
外発的動機付けは、やろうとしていること自体ではなく、それをすることによって得られる報酬、避けることができる罰によるものです。大会でもらえる賞品、他人からの称賛、親にやれと言われている…などが挙げられます。自分の内面ではなく、外部からの報酬や罰に由来する動機付けなので、「外発的」動機付けと言われます。
内発的動機付けと外発的動機付けの関係についてです。理想としては内発的動機付けと外発的動機付けの両方とも高い方がいいです。なので、内発的動機付けが低い選手に外発的動機付けをあたえればよい、という考えになります。しかし、外発的動機付けを高めると内発的動機付けが低くなってしまうことが多くの研究で示唆されています。
それを示す一つの実験として、Deci(1972)の実験があります。被験者に立体のパズルを制限時間内にできるだけ多く完成させてもらう、という課題をしてもらいます。
「SOMA」というもので、様々な形のパズルを組み合わせて、指定された形にするという課題です。
被験者は、パズルを1個完成させる毎に報酬として1ドル与えられる群と、報酬が全く与えられない群に分けられます。報酬あり群は、報酬なし群よりも外発的動機付けが高いと言えます。
その2つの群の間で何を比較するかというと、制限時間内で完成させたパズルの個数…ではありません。被験者が課題をやり終えると、実験者が、5~10分くらい部屋を離れること、その間パズルをやるなり雑誌を読むなり自由にしててよい、ということを告げて部屋を立ち去ります。測定したのは、実験者が部屋を離れているときに、被験者がパズルで遊んでいた時間でした。実験者にやれとも言われていない、報酬も与えられないという条件下でパズルに費やした時間が、内発的動機付けを表す測定指標である、ということです。
その時間を、報酬あり群となし群とで比較すると、報酬あり群の平均は約100秒、なし群の平均は約200秒という、二つの群では大きく異なる結果でした。この結果から、外発的動機付けを高めると内発的動機付けが低下する、と考察されます。
(話題から外れますが、どうやって実験者が離れた後に被験者がパズルで遊んでいた時間を測定したかというと、マジックミラーから覗き見していたのです。現在では、このようなことは倫理的側面から行うことはできません。とはいえ、内発的動機付けを測定する指標を、実験者が離れたあとにパズルで遊んでいた時間としたのは素晴らしいアイディアだと思います。)
この実験のほかにも、プロ選手が高額の契約を結ぶと成績が悪くなるという調査もあるようです(Cox,1998)。
物事を続けるには、外発的動機付けよりも内発的動機付けが高い方がいいと言えます。ダイエットのためだけにテニスを始めようと思っても長続きしないでしょう。ダイエットのために運動するなら、自分がやりたいと思う運動が最も長続きすると思います。私はテニスが好きなのでテニスをたくさんしているのですが、いっこうに体重が減りません…どうしたものか…( ; ゚Д゚)