2008年02月02日
スポーツと性格③~社会的学習理論
今まで性格を決める要素として、遺伝子、状況について書きましたが、今回はそれに続きまして経験(社会的学習理論)です。
社会的学習理論で重要なのは「条件付け」というものです。この条件付けには2種類あって、ひとつは「古典的条件付け」、もう一つは「オペラント条件付け」というものです。
「古典的条件付け」とは、広く知られている「パブロフの犬」で発見されたものです。パブロフの犬について簡単に説明します。そもそも犬に肉を見せると唾液が分泌されます。ベルの音を聞かせても唾液は出ません。そこで、肉を見せると同時にベルの音を犬に呈示することを何度か行います。すると、肉を見せずに音を聞かせるだけで、唾液が分泌されるようになります。このように、生物が生来的に持っている反応(この場合、肉を見て唾液が分泌されるのは条件反射)が、それとは無関係な刺激(肉を見せることとベルの音にはそもそも関係はありません)によって引き起こされることを、古典的条件付けと言います。
もう一つの「オペラント条件づけ」ですが、古典的条件付けは生物が生来的に持っている反応を引き起こすものですが、オペラント条件付けは生物が生来的に持っていない「行動」を引き起こすものです。これだけでは分かりにくいので例を示します。ケージの中に、ネズミと黒色の箱と白色の箱を置きます。もしネズミが黒色の箱に触った時だけエサを上げるようにします。すると、ネズミは白色よりも黒色の箱の方を選択して触るようになります。このように、白色より黒色のものを選択する、という行動は生物が生来的に持っていない行動を、それとは無関係な刺激によって引き起こされることをオペラント条件づけといいます。
スポーツにおける性格については、後者のオペラント条件付けが当てはまります。たとえば、攻撃的なプレーをしたらよい結果が出た、コーチや先生に褒められた、観客から歓声が上がった、ということがあったことで、以前よりも攻撃的なプレーをするようになる(「強化」される)、といものです。あるいは、攻撃的なプレーをしなかったことで、怒られるといった「罰」が与えられることでも、攻撃的プレーをするように強化されます。また、反則に対してペナルティが与えられることは、反則をしないように強化しているとも考えられます。
自分が経験した場合だけでなく、他人のプレーを見ても自分が強化されるようになることもあります。これを「代理強化」といいます。ですので、プロの選手が、反則やマナー違反などの好ましくないプレーをするということは、その選手に注目している人(特に子ども)に、間違った方向に強化を与えかねないことも考えられます。
社会的学習理論(条件付け)についていろいろ書きましたが、これまで書いた特性論や状況主義と違って、社会的学習理論の立場では、性格は修正可能であるといえます。ですので、スポーツ心理学においてもこの立場が便利であると考えられます。子どもにスポーツを好きになってもらいたいなら、スポーツをする機会をたくさん与えて、褒めることや楽しいことを理解してもらえればいい、と考えられるからです。
性格における3つの立場について書きましたが、この3つのどれが正しいということも、どれが間違っているということもないでしょう。この3つのすべてが性格を決定する要因であるからです。じゃあ、どの要因が優位なのか、という研究も当然あります。例えば、幼いころに生き別れた一卵双生児を比較する、という研究が有名です。
スポーツとはそれますが、次回はこの「一卵双生児研究」について書きたいと思います。
社会的学習理論で重要なのは「条件付け」というものです。この条件付けには2種類あって、ひとつは「古典的条件付け」、もう一つは「オペラント条件付け」というものです。
「古典的条件付け」とは、広く知られている「パブロフの犬」で発見されたものです。パブロフの犬について簡単に説明します。そもそも犬に肉を見せると唾液が分泌されます。ベルの音を聞かせても唾液は出ません。そこで、肉を見せると同時にベルの音を犬に呈示することを何度か行います。すると、肉を見せずに音を聞かせるだけで、唾液が分泌されるようになります。このように、生物が生来的に持っている反応(この場合、肉を見て唾液が分泌されるのは条件反射)が、それとは無関係な刺激(肉を見せることとベルの音にはそもそも関係はありません)によって引き起こされることを、古典的条件付けと言います。
もう一つの「オペラント条件づけ」ですが、古典的条件付けは生物が生来的に持っている反応を引き起こすものですが、オペラント条件付けは生物が生来的に持っていない「行動」を引き起こすものです。これだけでは分かりにくいので例を示します。ケージの中に、ネズミと黒色の箱と白色の箱を置きます。もしネズミが黒色の箱に触った時だけエサを上げるようにします。すると、ネズミは白色よりも黒色の箱の方を選択して触るようになります。このように、白色より黒色のものを選択する、という行動は生物が生来的に持っていない行動を、それとは無関係な刺激によって引き起こされることをオペラント条件づけといいます。
スポーツにおける性格については、後者のオペラント条件付けが当てはまります。たとえば、攻撃的なプレーをしたらよい結果が出た、コーチや先生に褒められた、観客から歓声が上がった、ということがあったことで、以前よりも攻撃的なプレーをするようになる(「強化」される)、といものです。あるいは、攻撃的なプレーをしなかったことで、怒られるといった「罰」が与えられることでも、攻撃的プレーをするように強化されます。また、反則に対してペナルティが与えられることは、反則をしないように強化しているとも考えられます。
自分が経験した場合だけでなく、他人のプレーを見ても自分が強化されるようになることもあります。これを「代理強化」といいます。ですので、プロの選手が、反則やマナー違反などの好ましくないプレーをするということは、その選手に注目している人(特に子ども)に、間違った方向に強化を与えかねないことも考えられます。
社会的学習理論(条件付け)についていろいろ書きましたが、これまで書いた特性論や状況主義と違って、社会的学習理論の立場では、性格は修正可能であるといえます。ですので、スポーツ心理学においてもこの立場が便利であると考えられます。子どもにスポーツを好きになってもらいたいなら、スポーツをする機会をたくさん与えて、褒めることや楽しいことを理解してもらえればいい、と考えられるからです。
性格における3つの立場について書きましたが、この3つのどれが正しいということも、どれが間違っているということもないでしょう。この3つのすべてが性格を決定する要因であるからです。じゃあ、どの要因が優位なのか、という研究も当然あります。例えば、幼いころに生き別れた一卵双生児を比較する、という研究が有名です。
スポーツとはそれますが、次回はこの「一卵双生児研究」について書きたいと思います。